長岡速報

 
 
更新情報

ジョルジュ

Author:ジョルジュ
心母少女最終話更新
完結おめでとうございます。
08/03

新着記事+関連エントリー
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
作者
絵師
便利なサイト
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

( ^ω^)ブーンと心母少女のようです16 

2 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/26(土) 23:32:00.51 ID:Sk4UYwuR0

16.忘れ去られた少女

長岡と弟者の論争を制止しておきながら、まるで謙遜にみちた様子だった兄者だが、
熱もほとほと冷めたのをしるや、静かな調子でこんな風につづけた。

( ´_ゝ`)「たとえば長岡君の推理についてだけれど、やはり弟者が
       指摘したとおり、肝心要の部分が曖昧で信憑性に欠ける。
       かといって弟者の話も、クー・ルーの感情について無視し過ぎている」

(´<_` )「感情だと?」

弟の問いかけに、すらっとした顔で、

( ´_ゝ`)「あのパーティーには支部長である私も出席したが、そのとのクー・ルーの
       表情、仕草は並大抵の怒りではなかったよ。
       まあ参加しなかったお前なら、どうせ演技だろうと片付けただろうが……」

(´<_` ;)「だが……」

( ´_ゝ`)「まあ聞け。たしかにクー・ルーはいくらでもコネを持っているだろう。
       内藤様の、ひいてはウチの敵に掴まされていたっておかしくはない。
       だが、デレさんと親友だったという彼女が、あれほどの怒りを見せたのだ。
       私には演技だのとは思えない。なにかしらの因縁があると確信する。
       そもそも、親友だったという情報を抜きにして、他者からの使いだと
       想像すること自体、おれには難しいな」

(´<_` ;)「うう……」

そこまでやり込められると、さすがの弟者も閉口するしかなかった。



3 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/26(土) 23:36:57.03 ID:Sk4UYwuR0

( ^ω^)「(たしかにあれは、身近な憎悪だったお……)」

内藤が頷いたのを横目でみると、兄者は一息いれてから、

( ´_ゝ`)「憮然とした実の弟に、さらに追い討ちのかけるのは悲しいが、
       まあしょうがないからと許してくれ。
       なぜなら、俺の推理によれば、どちらかといえば
       弟者より長岡君のほうがある種で真実に近い、と思われるんだ」

( ゚∀゚) 「!」

( ´_ゝ`)「心母少女という小説についてだが、あれの名称々々が
       酒や煙草の由来……というのは合っているにしても、
       踏み込みが足りなさ過ぎる。どうも弟は勇み足ばかりを怖れているようだ。

( ´_ゝ`)「少女三人の名前、プルトニー、カレット、ドローレスだな。
       これらは確かに酒についてだが、もっと分解してみると、
       カレット、ドローレスはカクテルの名称なのに、
       プルトニーだけはモルト、または蒸留所の由来なんだよ」

(´<_` )「それぐらいは分かっていたさ」

痛いところを何度も突かれたせいで、気色ばんできた弟者は口調も勢いよく、

(´<_` )「その差別で疎外感を表現しようとしたんだろう?
       まったく典型的な……」

( ´_ゝ`)「まァ、最後まで聞け」


4 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/26(土) 23:39:25.89 ID:Sk4UYwuR0

どこまでも冷たく返すと、兄者はしみじみしたように、

( ´_ゝ`)「ともかく、それはそのとおりで、カレットのレシピにも、
       ドローレスのレシピにもウイスキーは必要ない。
       くわえてプルトニーというのはとても個性の強い類だから、
       この三つを並べ立てたとするなら、それはもう仲間はずれもいいとこだな」

( ´_ゝ`)「まあカレットというカクテルはウォッカベースだが、
       これをウイスキーに変更するとゴッドファーザーなる別種へ変わる。
       それにくわえ、カレットは別名でゴッドマザーというんだ。
       仲間はずれと思い込んだウイスキーが、そこに愛を見出して
       つけこんだ……といっては表現が悪いが、つまりそうした理由で
       プルトニー主人公はカレットさんに固執したのさ」

聞いているだけで、アマレットのアーモンドめいた
香りが仄かに漂ってくるような話だが、

内藤にとってみれば興味深いもので、
さしあたってのアルコールの誘惑など乗りようもない。


5 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/26(土) 23:41:37.57 ID:Sk4UYwuR0



( ´_ゝ`)「ドローレスというカクテルはまぁ、甘くてな。チェリーも飾るなんて
       極め付きだから、お人好しな性格な設定というのも頷けるものだ。
       だがプルトニーはひたすらドライで、そんなところに相性の悪さ、
       今後の雲行きの怪しさというものが垣間見えるというものさ」

( ゚∀゚) 「なるほど……」

( ´_ゝ`)「そして、わたしは……」

兄者はいきなりおちつくと、ぼそりと、

( ´_ゝ`)「この小説こそが、この事件での最も重大な鍵と考える」

かしこまった風にいった。……


         

 
7 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/26(土) 23:44:58.93 ID:Sk4UYwuR0

(´<_` ;)「正気か兄者!? いくらなんでも……」

( ´_ゝ`)「落ち着け弟者、落ち着け」

いまにも腰を上げそうな弟者をなだめると、兄者は気を取り戻したように再開した。

( ´_ゝ`)「なにもこの小説だけから、そんなことを思ったわけではないさ。
       私が思ったのは、それ以外の部分で推測し、考えをまとめ上げ、
       そうした中でふいに心母少女という小説とを照らし合わせたのさ」

( ゚∀゚) 「照らし合わせた……?」

( ´_ゝ`)「そう」

( ´_ゝ`)「さきほど長岡君は心母少女を読んでクー・ルーが狂気に陥ったと
       話したが、私の真相では直接的な関係はないはずなんだ。
       そもそもこの小説というのは、十五年も前にコピーなんかされているはずないし、
       内藤さんですら読めなかったという荒巻邸の品なんだから、デレ様も読めなかったことだろう」

( ^ω^)「(十五年前の、荒巻邸……でデレが……?)」

なにかを内藤は思い当たったようで、ふいに考え込んだが、
他の三人はそれに気付かなく、そのまま推論は進行された。

( ´_ゝ`)「しかし、関係ない……というには、あまりにも出来すぎている。
       そこなんだ。そこに私は恐怖さえ感じたのだ。
       荒巻家の女の悲しさが……その呪い、といえばいいのか……」

(´<_` ;)「どういうことだ? もうすこし順序立てて話してくれ」


9 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/26(土) 23:48:58.02 ID:Sk4UYwuR0

( ´_ゝ`)「うむ、しかし順序立てるとなると結構きびしいものがあってな。
       つまりだ。この心母少女というのは、荒巻家に昔起こったとされる、
       因縁……今後の女たちの呪いの発端の事件、それをベースに作られたものだろう。
       プルトニー、カレット、ドローレスの三人の少女らのモデルは、実際過去に居たということらしいが……。

( ´_ゝ`)「それを踏まえると、おそろしいほど自分の推理内容と符合している部分が多いのだ。
       今回のデレ様が関与なさった、十五年前の事件とな……。
       ああ、十五年前にも三人の少女の仲で一つの事件が起こったのさ。
       歴史は繰り返されるというが、その虚しさ、怨念深さには眉をしかめてしまう」

( ;゚∀゚) 「そんな……」

( ´_ゝ`)「たしかに滑稽無糖だ。しかし、そうとしか考えられないのだ。
       直接的な部分では超常現象めいたものは関係されていない。
       そこが件の事件を複雑にさせている要因なのかもな」

(´<_` ;)「そんな馬鹿な話を信じられるか!」

いきなり弟者は叫んで制した。それはむろん当然なことで、
長岡ですら半信半疑なのであった。

(´<_` ;)「兄者らしくないな。スタイルが違うぞ、推理、考えの……。
       ……兄者、あなたがその話を聞いて恐れを為しただけじゃないのか」

( ´_ゝ`)「違う。だから、推理を確固たるものにした上での感情なのだ。
       私は惑わされていないはずだ……悪意は傍観者には降り注がない」


10 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/26(土) 23:52:07.25 ID:Sk4UYwuR0

暗雲がたちこめる雰囲気のさなか、ふいに長岡が疑問を口にした。

( ;゚∀゚) 「……話の腰を折るようですみませんが、一つ。
      クー・ルーは心母少女を知らないはずだ、と仰いましたよね?」

( ´_ゝ`)「……そうだが」

( ゚∀゚) 「だとしたら……あの会場でのクー・ルーの呟きは何なんでしょう。
      そこがどうしても腑に落ちません」

( ´_ゝ`)「そこ……だな」

兄者は、その点についても色々考えていたようで、ふっと溜息をついた。

( ´_ゝ`)「おれの想像するところでは、その点こそが現代と昔とを
       メビウスの輪めいた捩じれで繋がらせている原因なはずなんだ。
       長岡君の推理もそうだが、ここさえシッカリとしていれば、
       きっと真実は見えてくるはずだ」

( ゚∀゚) 「というと、クー・ルーの呟きは他の意味なんですね?」

( ´_ゝ`)「ああ」

弟者は、「だから聞き間違えだろう」とでも言いたげな表情だったが、
長岡はそしらぬ顔で、

( ゚∀゚) 「ぼくの考えの発端、Pink Floydの原子心母というのは……」


12 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/26(土) 23:55:12.59 ID:Sk4UYwuR0

( ´_ゝ`)「ううむ、たしかに十五年前の一九九五年といえば、
       ブリットポップも真っ盛りで、洋楽がやたらに持ち上げられたものだが……」

しみじみした口調で続けたが、やはり、

( ´_ゝ`)「それをあの場でいうとは考えにくいな……」

( ゚∀゚) 「そうです、ね……」

落胆した長岡に、兄者は申し訳なさそうな口ぶりで、

( ´_ゝ`)「ついでにいうと、ツンさんが例の小説を書いた時期と
       原子心母が発表された頃とはズレがあるし、あまりPink Floydは関係ないだろう」

そこまで言ってから、兄者はしかし「ただ、」と付け加えた。

( ´_ゝ`)「捩じれの発端の一因、としては考えられるな。
       心母少女……はたしてこれはどういった意味だろう。
       さしずめ母の心を持った、あるいは母性本能の旺盛な少女といった感じだろうが、
       真相はツンさんの心の中だ。我々には知りようもない。

( ´_ゝ`)「似たようなことを、十五年前の少女達……デレ様、いや、クーが考えたのかもしれない。
       デレ様は優しいお嬢さんで、母なる大地の心をもった少女、といっても言い過ぎではなかったからな」

( ^ω^)「心母……かお」


13 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/26(土) 23:59:17.37 ID:Sk4UYwuR0

( ´_ゝ`)「たとえば先日、内藤様……正確にはデレ様に、クー・ルーから
       真っ白なグラジオラスが届けられた」

( ^ω^)「そのとおりだお」

( ´_ゝ`)「しかし、そこには"武装完了"だとか、そんな卑しい意味はなかった。
       なぜなら、グラジオラスとは……

( ^ω^)「デレの、誕生花なんだお」

とつぜんに兄者の言葉をひきとった内藤は、顔の汗を拭き取りながら部屋の皆を見回した。

( ^ω^)「そこも、気掛かりだったお。それに行き着いたとき、もしやと
       思ったんだお。クー・ルーはもしかしたらって……」

( ゚∀゚) 「……なにかお考えがあるのですね」

( ^ω^)「そうだお。だから、すこし手紙を宛てなくちゃならないお。
       いますぐ、ことを急がないと……兄者君の話はちゃんと聞いているから、
       ここで執筆する無礼を許してくれお」

(´<_` )「手紙……? 誰にでしょう?」

( ^ω^)「全部で三通。パーティーのとき話があるといっていた、しぃちゃん。
       それに荒巻義兄さん、最後にクー・ルーさんへ……」

(;゚∀゚) 「ク、クー・ルーへ!?」


14 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/27(日) 00:03:21.83 ID:zuSZAyt50

( ^ω^)「ウン、その手紙こそもっとも重要だお。
       だから、読まれる前に破棄されることだけは、なんとしてもあってはならない……」

( ´_ゝ`)「……そうですね、難儀なことでしょう」

ことを理解しているらしい兄者は、心配そうな声でいった。

(;^ω^)「たしかに大変だと思うお、でも、こればっかりは頑張らないと……!」

( ´_ゝ`)「はい……」


( ゚∀゚) 「……そろそろ、その過去の事件というのを話してくれませんでしょうか?」

困惑の表情を浮かばせながら、長岡は言いたいことを切り出した。
いかにもそのとおりで、このままでは納得のしようもない。
弟者も同感らしく、しきりに兄者へ目を向けている。

( ´_ゝ`)「いいだろう、いまから、十五年前の事件というのを教えよう」

もはやその言葉には推理という概念はうせ、完全な事実だと物語っていた。


16 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/27(日) 00:08:27.57 ID:zuSZAyt50

( ´_ゝ`)「……我々は見落としていたのさ。クー・ルーにデレ様、
       そうしてもう一人の、忘れ去られた少女を」

"忘れ去られた少女"

そのフレーズに帯びる禍々しさには、長岡も弟者も肩をすぼめるよりなく、
語り手の兄者までも尖った鼻梁を緊張でふるわしたものだった。


( ´_ゝ`)「その三人が主、そうして他の人間らが花添えをした事件。
       これが荒巻家の呪いというのなら、なんと恐ろしいものだろうか!
       デレ様の、人生を歪ませていく、そうして……」


とうとう兄者は十五年前の事件について触れだした。


そして驚くべきことに、その推理の内容というのは
真実にあまりにも近づいてい、あっという間に十五年という溝は埋め立てられたのだった。





                            (忘れ去られた少女 終)


 
 
コメント















 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
 
http://georgenagaoka0807.blog87.fc2.com/tb.php/52-449ec3f0
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。