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ジョルジュ

Author:ジョルジュ
心母少女最終話更新
完結おめでとうございます。
08/03

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( ^ω^)と無人の城のようです 三話 

3 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 02:46:51.78 ID:24V73Bg10
第三話 ― 作戦会議前編、討伐されるのはどちら




( ゚д゚ )「隊長隊長、隊長はトールヒルの噂話信じてます?」




会合を終えた兵士達が次々出て行く休憩所に、少しハイトーンな男性の声が響く。
若々しいその声には緊張感が無く、ただでさえ重々しい軍用施設の空気には不似合いなものだった。
一言で言えば、更に少し悪く表現するなら、やかましいという単語がそれに当て嵌まる。

隊長と呼ばれた方の男性はかなり年老いており、椅子に腰掛けたまま眠るように頭を沈めている。
どちらも軍服を身に着けているが、老いた兵士の方は服の迷彩色が薄れ、年季を感じさせる傷が所々に見受けられる。


老兵からの返答は無い。
若い兵士はそれを気に掛けた様子もなく、一人で喋くり始めた。



4 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 02:49:19.73 ID:24V73Bg10
( ゚д゚ )「僕って兵役に就いてからそんなに経ってないんですけど、正直このへんあんま詳しくないんですよ。
あ、でも一応はこのヴィップに住んでたんですけどね、ウチが宿屋だったもんで外に出る機会が多くなかったんですよね。
でですね、トールヒルの城の話は宿のお客からよく聞いてたんですけど、僕自身が丘のほうに上がった事は無いんですよね」


言葉を続けながら老兵の隣の椅子を引き、それに腰掛ける。
相槌の返って来ないそれを会話と呼ぶかどうかは別として、若い兵士はやたらと老人に顔を近づけて続ける。

( ゚д゚ )「とにかく吸血鬼が出ただの幽霊が出ただの、トールヒルに寄って来たお客が言うんです。
けど、それを誇らしげに話すんじゃなくて……例えば、その吸血鬼と戦って見事打ち勝った、とか言い出す訳じゃないんですよ。
必ずトールヒルの話を出すときは、こう実体験を元にした怪談を話すみたいにね、言うんです」

再現するような口調だが独特の真顔は変えない。


5 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 02:53:44.09 ID:24V73Bg10
( ゚д゚ )「”化け物共に恐ろしい目に遭わされた、全く散々だ、もうあの城には行かない”―――」


言うと少し間を置いて、その間を保つように椅子に座り直す。
相も変わらず老兵からの相槌は無いのだが、それは独り言の語り口ではない。

( ゚д゚ )「これ、不思議だと思いません?
それこそ饒舌な吟遊詩人から、いかにも筋肉質で強面の戦士まで皆が皆、こんな風に言うんですよ。
もし本当だとしても黙っていればいいのに、助けを求めるみたいに話すもんだから余計不思議に思ったんですよね。
後者に出した戦士さんだって、その話を出したときびっくりする位情けなくなったんですよ。強面の顔が青ざめてて」

ほらこんなふうに、そう言うと自分の顔を指差す。



8 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 02:57:26.85 ID:24V73Bg10
真顔である。どうやら青ざめた顔を真似ているつもりらしいが真顔である。老兵はその声にもやはり顔を上げない。
若い兵士も若い兵士で、それを気にする素振りは見せずにただ一人喋りを延々と続けている。

もしかするとこの二人はいつもこんな調子なのかもしれない。
一般人がこの様子を覗いていれば、その誰もがこう考えるだろう。


( ゚д゚ )「それでも僕は、化け物っていう枠の存在が本当にこの世界にいるとは思えないんですよね。
今の時代、城なんか持った人達が少しでも目立つとすぐ国軍に乗っ取られちゃうじゃないですか。
ここで僕の推理です。城の住人が化け物である噂はとにかく否定し、住人が全員ただの人間だったとします。
それで城主達はですね、きっと城を奪われるという事態を恐れて、住人がかりで来る人来る人を驚かしているんですよ」

よほどその推理とやらに自信があるのか、若い兵士はぐっと握り拳を胸の前に作った。




11 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:00:05.74 ID:24V73Bg10
( ゚д゚ )「それが噂となってここまで広まり、今や無人の城という異名で呼ばれるようになる始末……。
……だからこそ、僕は今夜の”トールヒル城討伐”に参加する事に決めたのです!
国軍の下で城を乗っ取る事には気が引けますが、噂話に怯える人々にきっとそれが嘘である事を、必ずや立証するのです!」


わざわざ老兵の隣に寄せていた椅子から急に立ち上がり、若い兵士が唐突に叫んだ。
老人の肩が小さく動く。若い兵士はそれに気付かない。

( ゚д゚ )「そうなんです、大体魔法なんて都合のいい事象があり得る筈もないんですよ。
だからあの時僕が負けたのは絶対にオカルトの仕業じゃなくて、あの燕尾服の優男のインチキで―――」


/ ,' 3「うるさい」





13 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:03:41.52 ID:24V73Bg10
( ゚д゚ )「……、あ」

若い兵士がその声でようやく我に帰ると、老兵が白くなった頭髪の間からこちらを睨み付けていた。


どうも機嫌を損ねてしまったようだ、若い兵士はすぐにそう悟る。
すぐに椅子を直すと、その場から一歩下がった。

( ゚д゚ )「失礼しました、隊長」

/ ,' 3「あとこっちみんな。その目線は直した方が良いぞ」

付け加えると老兵は顔を上げ、寝起きのように頭を掻いた。
若い兵士の戻した椅子に手を付いて立ち上がり、深いため息を一つつく。





15 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:06:44.46 ID:24V73Bg10
( ゚д゚ )「ちょっと傷付きます、隊長」

/ ,' 3「口答えはその顔にもう少し表情を付けられるようになってから言え。
ミルナ……じゃったかの、お前さんは昼食を食わんで良いのか?」

( ゚д゚ )「ピクニックの前の日は興奮して眠れないってヤツです」

/ ,' 3「要は飯を食う気になれん、ってか。ふん、好きにせい」

( ゚д゚ )「了解です。好きにします、隊長」

老兵が再びため息をつく。
ミルナと呼ばれた若い兵士は、今度はゆっくりと椅子引いてそれに腰掛けると、腕を組んで何やらうなり始めた。
時々ミルナの口から魔法、魔法と繰り返し言葉が漏れていたが、老兵の耳がその声を拾う事は無かった。



17 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:09:58.34 ID:24V73Bg10
************




从 ゚∀从「さてと、先に話しといてやるよ」



あの後ハインリッヒに先導され、ブーンはツンと呼ばれた女性と共に応接室のような場所へ移動させられていた。


鏡の中にいた男性は「後から行く」とだけ残すと、そのまま鏡に映る風景へ溶けるようにして姿を消してしまったのである。
世の中には不思議な事があるものだと、ブーンは様々な事柄を整理しきれていない頭でしみじみ考えていた。

ハインリッヒと向かい合うようにして、ブーンはふかふかのソファーに腰掛けさせられた。
二人の中央にあるガラス板を挟んだテーブルに、失礼しますと一言入れてからツンがカップを置いていく。
紅茶を淹れ始めたツンにブーンが会釈をすると、何が不満なのかまた眉間に皺を寄せられ、そのままそっぽを向いてしまった。


20 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:13:28.33 ID:24V73Bg10
从 ゚∀从「記憶喪失だっつってたけど、お前この丘のふもとに港町があるのは知ってるか?」

ハインリッヒが話を切り出す。
ふもとと聞いてすぐ、おぼろげではあるが昨日のお爺さんから聞いた話が思い浮かんだ。
とはいえ実際に行った事がある訳ではないので、港町であるという話は耳慣れていない。


( ^ω^)「名前だけなら知ってますお。
けどその、元々覚えてた訳じゃなくて、昨日人からこのへんの情報を聞いた時にたまたま名前が出てきただけで」

从 ゚∀从「ふうん、そうか……。
まあ良い、その町なんだけどな、戦のどさくさで町人に紛れた科学者が居るみてぇなんだよ。
どうもそいつの部下が討伐隊を称させて、今日あたりこの城を奪う分に俺達を追放しに来るらしいって情報が流れてる」

(;^ω^)「追放!」


物騒な単語に、思わずブーンが話を遮って声を上げた。
ハインの隣で立っていたツンが目を丸くする。


22 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:16:37.79 ID:24V73Bg10
追放という単語の意味はそのままではなく、討伐隊という名称からして城の住人が逃げるか死する事を指すのだろう。
ブーン自身戦が為す影響の非道さは記憶喪失ながらに把握しているが、これには驚くしかなかった。


(;^ω^)「何でだお!?さっきハインリッヒさん達、人間には何もしてないって言ってたお!
なのに討伐隊って、どうして悪い獣でも狩りに出るような名前で!」

从 ゚∀从「さん付けはやめろ、あとハインで良い。まあ、俺達みたいな化け物の城じゃなくたってそうだろうよ。
でかい屋敷や古い城を所有してる奴らが、何かと理由をつけてそれを取られちまうなんてよくある事だ。
その矛先がたまたま、この城に向いただけだよ」


24 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:19:59.02 ID:24V73Bg10
(;^ω^)「……」

ブーンは俯き、拳を握る。ハインの軽めな口調が、より彼の気を滅入らせた。
そんなのって無茶苦茶なんじゃあないか。
静かに暮らしてるだけ(らしい)のに、討伐だなんて名目まで付けて。


今ある情報でここまで感傷的になれるのはそれこそブーンの持つ性質だが、どうも彼には少し早とちりな部分があるようだ。


从 ゚∀从「……。寧ろ一般の人間が持ってる城を狙うより、町民からの評判は落ちねえんだろうな。
そうだろ、だからこそ”討伐隊”なんだよ。つまりは化け物討伐ついでにお城をかっぱらって来る、ってな所だ。
元々この城は、ふもとの住人からあんまり良い目で見られてた訳じゃないしさ」

良い目で見られていた訳じゃない、というのは大よそ、城の住人達への畏怖からだろう。
そう考えるブーン自身も、未だに目の前にいるハインに小さな畏怖を抱いている。

25 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:23:07.05 ID:24V73Bg10
( ^ω^)「でも、僕は」

それでもブーンは、ブーンとしてその青年が持つ性質は、それを割り切れない。

从 ゚∀从「?」

( ^ω^)「いち人間として。理不尽に、感じたお……」

从 ゚∀从「……」

ハインの顔が真剣になる。

从 ゚∀从「そりゃ、まあうん。でもな、お前がふもとに住んでりゃ、周りの影響で違う考え方をしたかもしれねぇし。
お前は俺達側の事情を聞いたからそう思ってくれる事が出来ただけで、それを知らなかったら」

( ^ω^)「なら、ふもとの人達にもそれを教えてあげれば良いんだお!」

ハインの眉が困ったように垂れ下がる。


27 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:26:10.79 ID:24V73Bg10
( ^ω^)「話を聞く限りだと、この城はふもとの人達と交流してないんだお?」

从 ゚∀从「ま、まあ……そうなるけど」

( ^ω^)「いっそ討伐隊の人達が来たら、抵抗しないって所を見せてあげれば……」


ξ゚⊿゚)ξ「そう簡単には行かないのが現実なの」


二人の会話を静かに眺めていたツンが、ブーンの言葉に割り込む。
少し興奮気味になっていたブーンは、ハインからツンの方へ顔を向ける。
どこか曇った表情で、ツンが続けた。

28 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:30:18.17 ID:24V73Bg10
ξ゚⊿゚)ξ「種の違うものに対する恐怖や畏怖、優劣の念って、どうしても完全には拭い去れないのね。
例えば人種間のものであったり、障害を持つ人間へ対するものであったり、社会でもそれは同じ事なの」

急に大人びた口調になり、ほんの少し青みを帯びた瞳でツンが語る。
ブーンはそれを静かに聞いていた。

ξ゚⊿゚)ξ「付け加えるなら、戦。あれ程根底から人を狂わせる物は無いし、更にその狂気は見事に感染するわ。
それに感染している科学者達からすれば、劣等種は何を言っても劣等種、化け物が何を言っても化け物で済まされてしまう。
もしあんたが言うように弁解を始めれば、それこそ一言目を言い出した瞬間に―――」

从 ゚∀从「”油断したぞ、攻め入れ!”ってね」


ハインの一言にブーンが肩を跳ねさせる。

30 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:33:26.83 ID:24V73Bg10
从 ゚∀从「ま、今回はそこまで酷いモンじゃねぇだろうけどな。いつまでもこんな関係を保つつもりだって無いさ。
だが、それを解く事を考えるには、まず科学者共が大人しくなってからじゃないとな」

諭すようにハインが言った。ブーンはその口調でようやく跳ね上がっていた肩を戻す。
すっかり治まった興奮を拭い、ブーンはツンとハイン両方に目配せした。

( ^ω^)「ごめんなさいお……浅はか、だったお」

从 ゚∀从「いーってことよ。あと敬語もやめろったら」

女性特有の含んだ笑い声をハインが放つ。
ツンはため息を一つ付くと、ブーンが見る限りでは初めての小さな笑みを浮べた。

33 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:35:33.60 ID:24V73Bg10
从 ゚∀从「話が逸れちまったけど、さっきも言ったお前に手伝って欲しい事についてだ。
そうだな、まずは……ああツン、今何時か分かるか?」

ξ゚⊿゚)ξ「はい。九時二十九分です」

ツンはメイド服の袖を捲くると、細く白い腕に花をあしらったような真紅の腕時計を覗かせた。
きびきびとした動きが使用人らしい。

从 ゚∀从「丁度じゃねえか。ふむ、こりゃここで話すよかは実際に見せた方が良いかもしれねぇな。
都合が良い、一旦はこのまま広間に戻るか……召集は三十分からだったな、ツン」

( ^ω^)「何かあるのかお?」

从 ゚∀从「良いからちょっと待ってろ。すぐに色々教えてやる」

言うや否や、部屋の天井から耳をつんざく様な高いハウリングが響いて来た。
ブーンが思わず顔を歪めると、ハインはわざとらしく両耳に手を当てて目を細めた。
そのままツンへ目配せする。顎で部屋の隅を指すと、ツンは窓際に取り付けられた何かの装置を弄くり始める。

34 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:38:55.55 ID:24V73Bg10
(;^ω^)「あうあう!」

从 ゚∀从「来やがった!ふふふっ、見てろよ少年。これ城中に取り付けるの苦労したんだぜー」

ハウリングの外からハインの声が伝わる。部屋の空気までもが騒がしく振動し、ブーンの耳を貫いた。
ツンがいそいそと装置のレバーを動かすのと同時に、ハウリングは徐々に縮まり始める。
ブーンが息をつくと、ハインがその唇に楽しげな弧を描かせた。


ノハ;゚⊿゚)《び、びっくりしたぞぉぉ…》


消えていくハウリングの中から、さっき広間でハインとツッコミ談義を広げていた女性の声が聞こえる。
ブーンは聞き覚えのあるその声に反応し、すぐ上を向いた。どうやら音の発信源は放送器具のようだ。

36 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:42:27.51 ID:24V73Bg10
( ^ω^)「今の声、さっきの……?」

从 ゚∀从「おう。あいつはヒートってんだ、格好良く言うと連絡員って奴。
広間にある、こうヘンな機械を手にもって喋りかけるとな、それを通して城中に声が伝わるって仕組みだ。面白いだろ」

ハインが伝えたい事は分かったが、”要するにそれってマイクじゃないの”とはブーンは言えなかった。
科学万歳のこの時代でマイクをヘンな機械呼ばわりとは少し滑稽だ。どうも機械については疎いのかもしれない。

完全にハウリングが消え去った頃、放送器具からヒートが「こほん!」とお決まりの咳を放つのが聞こえた。


ノパ⊿゚)《あーあー城の皆おはようっ、現在九時三十分!良き朝を迎えている事を信じて連絡だあああっ!
例の討伐隊についての作戦会議を行うぅ!昨日連絡を回された衆は着替えとかが済み次第、至急広間に集まってくれえええっ!》


ハウリングは消えたが、ブーンは別の意味で耳を押さえたくなった。

38 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:46:19.15 ID:24V73Bg10
どうもヒートさんとやらは、放送用のマイクへ何かを熱唱するかのように声を叩きつけているようだ。
言葉の末尾は伸びに伸び、その声量は一言づつで熱風を煽る如き暑苦しさを含んでいる。


ノパ⊿゚)《今回は昨日の騒動で入ったお客様が参加するんだからな、あまり待たせちゃだめだぞおおおおっ!!
連絡はこれで終了だっ!広間で待ってるからなああああああっうえっゲホッごぶ》


最後があまり宜しくない方向に濁っていたが、どうやらヒートさんの連絡は終了したらしい。
ツンが再び装置を弄くると、途切れ途切れにまだ響いていたノイズが聞こえなくなった。

暫く部屋の中を静けさが支配するが、無意識に止めていた息をブーンが吐き出す音でそれは破られる。
軽く張られていた緊張の糸がとけ、各々が妙に強張らせていた体勢を崩した。

40 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:50:24.23 ID:24V73Bg10
まだ頭の中で反芻しているヒートの声を振り払うように、ブーンは一度目をぎゅっと瞑る。
お客様とは多分ブーンの事を指していたと思われるが、とにかく突っ込む余地を与えない速さにその質問は流された。

(;^ω^)「ふー、びっくりしたお」

从 ゚∀从「だろっだろっ。最近の機械って奴中々すげーだろ」

それが聞きたかったんだよ!と続けながら、ハインは周囲に暖色の花を散らして笑顔を作る。
ブーンが驚いたのはそれに対してではなく、ヒートの声に対してなのだが、あえて訂正せず引きつった笑顔で返しておいた。

( ^ω^)「にしても、計画とか作戦会議とかって結局何のことなんだお?」

質問すると、ハインは急に笑顔の柄を変え、どこか邪なそれを浮べる。
しまった、ブーンは何か触れてはいけないものを八の字に撫でてしまったような感触に自己嫌悪した。

41 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:54:31.96 ID:24V73Bg10
ハインはその場で立ち上がり仰々しくマントを広げると、ガラスを挟んでいるにも関わらず机に片足を乗せる。
自分より小さいハインの背丈が、まるで光源を増した影のように一気に伸びた錯覚にブーンは襲われる。
どこか昨晩の演説と似たように声を張り上げ、ハインが言い放つ。


从 ゚∀从「よくぞ聞いてくれた、少年!」


(;^ω^)(スイッチ入りましたおっお……!)

ハインの赤い双眸が爛々と輝く。
とにかくその瞳は楽しげで楽しげで、これから起こる出来事全てを予測して尚楽しんでいるような光があった。

43 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 03:58:32.26 ID:24V73Bg10
从 ゚∀从「討伐隊なんて名前まで使ってこの城に乗り込んで来るとは、寧ろ良い度胸だと俺は思うね!
何せ、肝試しの連中から戦場で名を馳せた覇者とやらまでが揃って泣いて逃げるこの城を奪いに来るってんだからな!」

嘲笑しているのか本当に褒めているのか、どちらともとれる勢いある口調にブーンは再びたじろぐ。

从 ゚∀从「その度胸は敬意に値する!……そう、まさに敬意を表して、だ!
俺達の方も思い切り出迎えて、持て成して、全席で馳走して、身の毛が弥立つまで歓迎し尽くしてやるって寸法さ!」

たじろぐブーンを尻目に、ハインはブーンの目の奥にあるどこか人体の中枢を見つめながら、そう言い切った。



カリスマ。

ブーンの脳裏を、一つの言葉が過ぎる。

46 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 04:01:30.83 ID:24V73Bg10
************




ノパ⊿゚)「おおおっ、来たな弟子諸君!」


ヒートがそう叫んだ先、広間の階段の一つから幼い男女が手を繋いで降りて来ていた。
どちらかというと、手を繋ぐというよりは少女が少年の腕を引いて歩くようにしている。

(*‘ω‘ *)「来てやったぞ、っぽ」

( ><)「皆おはようなんです、ご主人様も連れて来たんです!」

ヒートに向かって声を掛けると、少し歩みを速めて階段を降りる。

少年の方は、片腕に大人の頭二つ半程度の大きさをした鏡を抱え持っていた。
その鏡の中に、一人の男性が姿を現す。
広間の中にそれと同じ男性の姿は無く、鏡の中だけに存在するその男性はヒートの方を向いて笑みを浮かべた。


47 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 04:04:10.17 ID:24V73Bg10
「しかしまあ、相変わらずだな。この城の主人は」

天井から声が響く。
声のした方へ少女が目を向けると、天井のシャンデリアを支える柱に足をかけ、逆さ吊りになっている青年が一人居た。

(*‘ω‘ *)「先に来てたのかっぽ。弟君はまだ来てねえのかっぽ」

少女が声を掛けると、その後ろからもう一つ声が上がる。

「あー、ここだここ。お早う」

少女の振り向いた先には、同じようにして逆さ吊りになる青年がいる。その容姿は前者の青年とほぼ同じだった。
二人ともどこかの民族衣装のような服を着ており、長く弛んだ袖を振るうと同時に天井から落ちる。
地に落ちるまでの何秒かで器用に回転すると、それぞれ上手く着地して地に降り立つ。

49 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 04:07:59.53 ID:24V73Bg10
ノパ⊿゚)「兄者、弟者!今日も吊るしっこ合戦か?仲良き事は美しき哉だなっ!」


( ´_ゝ`)「うむ。今日も熱いな」

(´<_` )「とりあえず吊るしっこという呼び方はどうかと思うが、今日も熱いな」

ノパ⊿゚)「褒めるなよぅ!照れるだろぅ!」

兄者、弟者と呼ばれた二人の青年は、ヒートを中心としたその輪に近寄って行く。
集まった面子の顔を確認すると、うんうん、とおかしなタイミングでヒートが首を振った。


ふとその輪の後ろから、鉄扉の音が響く。

51 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 04:09:30.76 ID:24V73Bg10
(-_-)「……あ、あの、遅れてごめんなさい」



どこか幼さの抜け切らない少年が、壁と扉との隙間から弱弱しく、広間の輪へ声を掛ける。

それぞれがそれぞれの笑顔で、その少年を迎えた。



― 第三話 了



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