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ジョルジュ

Author:ジョルジュ
心母少女最終話更新
完結おめでとうございます。
08/03

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鏡合わせな俺ら、のようです 

155 :鏡合わせな俺ら、のようです 1:2009/08/05(水) 22:42:16.92 ID:/ySLxN1m0

目の前に俺が最も憎悪する人間が突っ立っていた。
いつものように口元を歪め、俺を見下している。
それがどうにも我慢ならず、俺はありったけの憎しみを込めて吐き捨てる。

(゜<_゜ #)「お前さえいなければ!」



鏡合わせな俺ら、のようです




157 :鏡合わせな俺ら、のようです 2:2009/08/05(水) 22:43:21.85 ID:/ySLxN1m0

この世界では双子は災いの者として忌み嫌われている。
普通なら後から生まれた子供はその場で殺される。
だが、俺の場合は事情が違った。

(´<_` #)「たった数秒母様から出てきたのが遅れただけで俺は未来永劫お前の弟だ!
いや弟ですらない。
俺はお前の影でしかない!
俺は俺なのに、誰も俺を呼んではくれないんだ!」

俺はVIP王国の領地の1つであるニノクニ地方を統治する流石家の跡取りとして生まれた。
だが、俺は双子の弟と定められた為に存在を抹消された。
両親から名前すら与えられず、屋敷の一室に監禁されて生きる事になった。


160 :鏡合わせな俺ら、のようです 3:2009/08/05(水) 22:45:16.44 ID:/ySLxN1m0

殺されなかったのは死体の処理に困った為だ。
流石家は宗教の関係で代々土葬以外を禁じている。
墓場に跡取りそっくりの死体が埋葬されているのが見つかれば大問題になるのは必至だ。
それを危惧しての事だろうが、俺にとってはただ運命を呪う以外なかった。

(´<_` #)「同じ顔、同じ体格、同じ声!
ずっとずっと憎いお前の姿で俺は生き続けなければならない!」

毎朝鏡を見るたびに俺は絶望のどん底に突き落とされる。
憎くて憎くて堪らない顔が鏡に映し出されて、思わず鏡を叩き割ったのは2度3度ではない。
しかし、手が血まみれだろうと俺は身支度を整えられ、部屋の外に連れ出される。

(´<_` )「体が弱いお前の代わりに俺は国の剣術大会に出場し、優勝した。
       勉強が出来ないお前の代わりに国家法律院の試験を受験して、合格した。」


161 :鏡合わせな俺ら、のようです 4:2009/08/05(水) 22:47:25.20 ID:/ySLxN1m0

(゜<_゜ #)「帝王学が理解出来ていないお前の代わりに、国の行事を指示しているのは俺だ!
      ダンスパーティーで知り合った隣国の姫と婚約まで漕ぎ着けたのは俺だ!
      何も出来ないお前の代わりに俺は何でもやった!
      剣術や勉強は死に物狂いでやったし、社交性だって磨いた!
      けどな、誰も俺を誉めちゃくれない。
      みんな、みんな俺ではなくお前だと!
      VIP王国4大貴族の1つ流石家の長男である『兄者』としか見てくれないんだよ!!!」

どんなに努力を重ねても、どんなに人を愛しても、存在を抹消された俺には何も残らない。
全て目の前の男がかっさらってしまう。
これが、これが憎まずにいられるかっ!


162 :鏡合わせな俺ら、のようです 5:2009/08/05(水) 22:48:52.12 ID:/ySLxN1m0

ゴホッ( <_  ;)

勢いが有り余って咳き込むと、叫び過ぎたせいか口の中に血の味が広がる。
自分が我を忘れて興奮していたのに気付き、少しずつ心が冷静さを取り戻していく。

( <_  )「…なぁ、俺はなんなんだ?
      忌み嫌われた双子の片割れとして生まれ、世界から存在を抹消され、
      両親に名前すら与えられなかった俺は…」

目の前の男は相変わらず笑っている。
最早視界に入れることすら嫌悪し、、うなだれる。
俯いた視線の先には鉄枷が付けられた両足首があった。
両手首と首にも鉄枷があり、これらは全て嫌みなくらい柔らかいベッドの足と鎖で繋がれている。
鎖はベッドから下りられる程度の長さしかなく、俺はベッドの側面を背にしている格好だ。


164 :鏡合わせな俺ら、のようです 6:2009/08/05(水) 22:50:42.46 ID:/ySLxN1m0

( <_  )「お前の代役をやらされる以外はこうして鎖で繋がれて。
      …もう疲れたんだ。
      幽霊のように生かされ続けるのは、もうたくさんだ」

首にある鉄枷が首を絞める事を拒む。
ベッドを中心に展開されている治癒の魔法陣がどんな傷も瞬時に癒やしてしまう。
俺は自分で死ぬ事も出来なかった。


167 :鏡合わせな俺ら、のようです 7:2009/08/05(水) 22:52:13.27 ID:/ySLxN1m0

(  ,_ゝ )



これらは全て目の前でほくそ笑んでいる男による処置だ。
俺の生殺与奪は全て、この男に握られている。
世界で最も憎いこの人間に!!

(;<_; #)「…殺せ。俺を殺せ!
      もう嫌だ!!
      もう生きるのも奪われるのも嫌だ!!
      死なせてくれ! ※※!」


168 :鏡合わせな俺ら、のようです 8:2009/08/05(水) 22:53:42.96 ID:/ySLxN1m0

◇◆

寝室の扉を閉め、俺は客間にある椅子に腰掛けた。
開いている窓から入ってくる夜風の冷たさが心地良い。
テーブルには明日の政の予定が事細かに記載された書類が置かれていた。
手に取って眺めようとしたが、自分には関係ない事だと気付いてそのままにしておく。

(゜<_゜ #)『何も出来ないお前の代わりに俺は何でもやった!』

弟の叫び声が頭の中で反響する。
弟の言う通り、俺は何も出来ない人間だ。
剣術も勉強も、政治だって空っきしのでくの坊。
だが――

(*゚ー゚)『流石、兄者様!』

( ФωФ)『まさに領主に相応しいお方ですな』


169 :鏡合わせな俺ら、のようです 9:2009/08/05(水) 22:54:53.44 ID:/ySLxN1m0

誰もが俺の名前で俺を褒め称える。
誰もが弟の功績であると気付かない。
俺の名前を呼ぶ殆どの人間が俺自身を指しているのではないと気付いたのは、随分遅かったと思う。

( ´_ゝ`)「馬鹿だったな、あの頃は」

数年前の自分を振り返り、数々の出来事を思い出すと苦笑してしまった。
あの頃は俺が『兄者』であると誰かに肯定してもらいたくて、随分色々な方面に手を出した。
魔方陣の知識はその時に得たものだ。

(( ´_ゝ`))ブルッ

風に当たり過ぎたせいか、少し寒くなってきた。
窓を閉めようと窓際に寄ったところで、やけに外が明るい事に気がついた。


172 :鏡合わせな俺ら、のようです 10:2009/08/05(水) 23:00:07.47 ID:/ySLxN1m0

( ´_ゝ`)「あぁ、満月だったのか」

夜空にはまん丸の月が世界を照らしていた。
ふと、昔読んだ科学誌の一文を思い出す。
月の自転周期と地球の周りを回る公転周期が同じであるため、月はいつも同じ面を地球に向けている。
だから誰も月の裏側を知らないと。
まるで俺達のようだと酷く気に入った雑学だ。

( ´_ゝ`)『おれはここにいるよ!ねぇ、あいつじゃなくておれを見てよ!』

幼い頃は俺の片割れの存在を酷く憎んだものだった。
しかし、今は感謝すらしている。


174 :鏡合わせな俺ら、のようです 11:2009/08/05(水) 23:01:11.24 ID:/ySLxN1m0

( <_  #)『―――っ!※※っ!!』

隣の寝室から弟の叫び声が聞こえてくる。
微かに聞こえた言葉に思わず口元が緩む。
しかし、あぁまた泣いているのか。
あの魔法陣は出血にしか効果がない。
眼が腫れていては明日の政に支障が出るだろう。妻のクーは弟の顔色に敏感らしいから。

書類にかかれている朝の会議時間を一瞥し、俺は立ち上がって寝室へと向かう。



176 :鏡合わせな俺ら、のようです 12:2009/08/05(水) 23:02:35.60 ID:/ySLxN1m0


(  ,_ゝ )


名前すらない俺の弟。
俺しか知らない俺の弟。
俺がいないと生きられない弟。

俺が出来る唯一の事。
それが俺の全て。








( ゚∀゚)ブーン系小説練習&イラスト総合案内所のようです
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