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ジョルジュ

Author:ジョルジュ
心母少女最終話更新
完結おめでとうございます。
08/03

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( ・∀・)モララーは本格的に駄目なようです 六話 

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:02:32.36 ID:Omy7nGea0

 例えば、人々が紡ぎ出す物語の終わり。
 時に感動的で、時に絶望的で、そして余りに必然的な最期。
 その日まで僕は、その暇で僕は、ただ何かをしたかった。



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:03:02.98 ID:Omy7nGea0

六話 いきのはじまり




4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:03:33.48 ID:Omy7nGea0

 眼を覚ますと、窓の外では鳥が囀り、そして温かい光が部屋を満たす。
 それを「幸福」と笑む人間がいるように、やはり「不幸」と泣く人間もいた。
 彼の場合は、圧倒的に後者だ。
 何故なら彼は、その日に大切な約束をしていた。
 待ち合わせの時刻は早朝の五時であり、この季節ではまだ陽も昇らない時間だ。
 よって彼は、覚醒と同時に目に付いた太陽を呪った。
 そして、自らの愚かしさを呪った。
 そもそもの間違いは、待ち合わせの時刻まで残すところを二十分とした段階で犯されていた。
 恒例となった公園から帰路に着き、シャワーを浴びる。
 さっぱりとした体でベッドの横たわる。
 至福の時だ。
 ……さて。「彼」とは誰だ。



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:04:13.61 ID:Omy7nGea0

( ・∀・)「僕だよ。バカめ」

 そうして回想を締めくくり、駆け足で部屋を飛び出す。
待ち合わせの時刻を二時間もオーバーしていた。
 今から向かった所で、待っているかは怪しいものだ。
 今や個人的な「待ち合わせの聖地」となった公園に着くと、不気味なまでの無表情で彼女は佇んでいた。

( ・∀・)「これは殺されるかも知らんね……」

(*゚ー゚)「ええ、殺しましょう。存分に殺しましょう」

 額に汗を浮かべ、詫びる僕に、彼女――「殺し屋」は言った。



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:04:50.87 ID:Omy7nGea0

 しかし、そんな言葉とは裏腹に、二時間もこうして待っていてくれたのだ。
これは俗に言う「ツンデレ」なのかも知れない。
 そう頬を緩ませる僕に、彼女はやはり淡々と提案した。

(*゚ー゚)「まず、互いの呼び方を改めましょう。他人に聞かれて余り気分の良い物でもありません」

 「殺し屋」と「策士」。
 確かに物騒この上ない。というより痛い。戦乱の世か、ここは。

( ・∀・)「えっと、”椎名”さんだっけ? 僕は”モララー”で頼むよ」

(*゚ー゚)「それでお願いします。しかし、”モララー”とは……」

 そういう彼女の頬は、先程までの僕以上に緩み、心なしか肩まで震わせている。
 心外であると同時、「殺し屋」の異名が霞むほどに幼く、柔らかい微笑みだった。



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:05:34.92 ID:Omy7nGea0

( ・∀・)「”モララー”の”モラ”は”モラル”の”モラ”……”策士”なんて呼び名より、よっぽど僕向きだと思うけど」

(*゚ー゚)「なるほど。”嘘”は”策士”の常套句という訳ですか」

( ・∀・)「まあね。じゃあ、嘘ついでに提案がある」

 僕の発言に、彼女は首を傾げて応える。 
 これこそ「”殺し屋”が聞いて呆れる」というものだ。
 僕は呆れる所か、癒されてしまっている訳だけど。

( ・∀・)「”モララー”と”椎名さん”じゃあ不自然だ」

(*゚ー゚)「確かに……」

 そこで、と僕は言葉を繋ぐ。

( ・∀・)「”椎名さん”の愛称を考えようじゃないか。”しぃ”なんてどうだろう?」

(*゚ー゚)「……」

 彼女は沈黙をもって応えた。
 僕の冗談は受け入れられなかったらしい。その視線は軽蔑を通り越して、嫌悪といって言い程だった。



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:06:19.27 ID:Omy7nGea0

( ・∀・)「あー、そんなに怒らなくても……冗談だよ?」

 半分程は本気だったのだけれど。
 繕う僕を、彼女は「いえ、」と制した。
 少し伏せられた眼は、随分と弱々しく見えた。

(*゚-゚)「懐かしい愛称を思い出したもので……モララーに非はありません。ただ、」

 顔を上げると一変。彼女の瞳は、

(*゚-゚)「今日お呼びしたのは、その話を聞く為です。返答によっては、死んでいただきましょう」

 ――全てを巻き込む「殺し屋」のそれと化していた。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:10:21.84 ID:Omy7nGea0


六話 いきのはじまり つづく



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:10:52.22 ID:Omy7nGea0

 こういう場面でこそ、僕は感情を操らなければならない。
 ずっと、そうやって生きてきた筈だ。
 それが特技だと自負していた筈だ。

「……はは」

 足掻こうとも、乾いた笑いが漏れるばかりで。
 僕の眼も同じく、いつまでも乾いたままだった。



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:11:22.74 ID:Omy7nGea0

六話 いきのはじまり つづき



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:12:02.45 ID:Omy7nGea0

「えーと、君。採用」

( ・∀・)「ありがとうございます」

爪'ー`)y‐「……君は疑問に思わないのかい? 履歴書も不要。面接も早々に即採用だ。不自然だろう?」

( ・∀・)「では、不採用という事ですか?」

 いいや、と煙草の煙を吐き出し、男はニヤリと笑った。

爪'ー`)y‐「間違いなく採用だよ。君はなかなかの逸材の様だ」



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:57:11.72 ID:Omy7nGea0

 ――こうして。
 僕はあっさりと夜の世界に足を踏み入れた。
 店の名前は「フォックス」。僕を採用したのも「フォックス」を名乗る男。
 僕の雇い主は結構な自己陶酔型らしかった。
 店は所謂「バー」らしく、当時中学生の僕には縁遠いものだったが、
学校に通いながら働くにはこういった夜の仕事は打って付けだ。

爪'ー`)y‐「慣れないうちは客の相手も楽じゃないだろう? 息抜きに少し相手をしてあげよう」

( ・∀・)「はぁ……」



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:57:42.42 ID:Omy7nGea0

 男は基本的に仕事をしない。
 いつだったか、「僕程になると、働かなくても金が舞い込んでくるのさ」と、自慢気に話していた。
 同じく、僕もほとんど働く必要はなかった。
 どうやら男は僕の事を偉く気に入っているらしく、事ある毎に僕を褒めた。
文末に「昔の自分を見ているようだ」、と付け足して、だが。
 よって、僕の仕事は「フォックスの子守」となる。

爪'ー`)y‐「なに、この店には優秀なバーテンダーがいる。僕が出張るまでもないさ」

 そういって、フォックスはチェスを持ち出した。
 僕はと言えば、気付けば必要以上に接近してくるフォックスの顔を遠ざけるので精一杯だ。



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:58:16.88 ID:Omy7nGea0

( ・∀・)「あのー、チェスってやった事ないんですけど……」

爪'ー`)y‐「簡単なものさ。君ならすぐにコツを掴むだろう……良いかい?」

 フォックスは簡単に駒の動きを説明し、「まあ、僕だって最初は初心者だったさ」と抜かした。
 曰く、フォックスは結構な博才をお持ちらしく、つまりそういった才能はこの世界でのみ生かされる。
 彼にかかれば「勝敗」に直結する全てはギャンブルであり、
「金が舞い込んでくる」とはそう意味だったのか、と僕は呆れたものだ。

( ・∀・)「えーと、チェックメイト……ですか?」

爪;'ー`)y‐「ほう…………」

 中学生の僕に「勝ちを譲る」などという謙虚な真似が出来る筈もなく。
 それから毎日のようにチェスに付き合わされたのは言うまでもない。



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:59:04.69 ID:Omy7nGea0

 これだから「自己陶酔型」は嫌いだった。
扱いやすいという意味では、これ以上は望めないのだけれど。

爪;'ー`)y‐「今日はこの辺にしとくか……。店は適当に頼んだ」

( ・∀・)「お疲れ様です」

 その日も、見事なまでに僕の圧勝。
 本当にフォックスはこれで生計を立てているのだろうか。
 そうであれば僕も、と物思いに更けていると、一人の男が僕に近付いてくるのが見えた。

( ゚∀゚)「ようよう。初めまして、”策士”くん」

( ・∀・)「はぁ……」

 男はやけに陽気に現れ、僕の隣に腰を下ろす。



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:59:49.80 ID:Omy7nGea0

 どう対応したものか、と思案する僕をまるで意に介さず、男は二人分の酒を注文した。
 この頃、僕はとうに「従業員」ではなく「マスコットキャラ」と認識されていたが、
やはりただ座っているのも悪い。
 たまには働いてみようか、と席を立つ僕の腕を男が掴んで止めた。

( ゚∀゚)「あのさ、さっきのどういう事だよ?」

( ・∀・)「さっき……の?」

 男はやはり陽気に笑い、

( ゚∀゚)「とぼけんなよ! チェスだよ。チェス」

 とグラスを煽る。



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 22:00:31.55 ID:Omy7nGea0

( ・∀・)「どういう……こと?」

(#゚∀゚)「あー! 賢いのか馬鹿なのか判んねー奴だな!」

 随分な言われ様だった。
 これ以上、貶されるのも心外なので、僕はまともに取り合う事にした。

( ・∀・)「どういう事も何も、実力ですよ。種も仕掛けもありません」

( ゚∀゚)「その台詞吐いた奴が正直者だった試しはねーがな」

 男はケタケタと言う。



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 22:21:10.42 ID:Omy7nGea0

 いやな、と男はグラスを口に運ぶ。
 どうやら話したがり屋さんらしい。

( ゚∀゚)「あの狐野郎との付き合い……まあ、腐れ縁ってやつも結構になるんだが」

( ・∀・)「はぁ……」

 話は長かった。相当に長かった。
 要約すると「あいつに勝っちゃうなんて凄いね」というだけの話なのだが、
体感経過時間は二度目の春を迎えようとしていた。

( ゚∀゚)「じゃ! また来てやるよ! ”策士”くん!!」

 ようやく僕が解放されたのは既に陽が昇りきってからだった。



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 22:21:42.15 ID:Omy7nGea0

(´・ω・`)「……お疲れ様。”策士”くん」

( ・∀・)「からかわないで下さいよ。”マスター”」

 グラスを磨く手は止めず、恥ずかしいから止めてくれ、と頭を掻いた。
 とはいえ「マスター」は暦としたマスターなのだから仕方ない。
 あの博打狂の下に、どうしてこんな働き者がいるのか不思議でならなかった。

(´・ω・`)「良いじゃないか。”策士”。いかにも君らしい」

( ・∀・)「過大評価です……偶然ですよ。偶然」

 カウンターに突っ伏しながら投げやりに応える。
 この時間だと、学校にも遅刻確定だ。
睡眠不足か、あるいはあの男のせいか、やけに体がだるい。



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 22:23:06.69 ID:Omy7nGea0

(  ∀ )「これで良いんだ……」

 こうしている限り、僕は何も考えずにいられるのだから。

(´・ω・`)「さ、店を閉めるよ」

( ・∀・)「……はい」

 疲れた体を起こし、店を出る。
 それじゃあまた明日、と柔和な笑顔で去って行く男を見送り、
僕も自転車を止めてある店の裏手に回る。
 そこには鍵の掛かった僕の自転車と、

( ゚∀゚)「よう、”策士”くん」

( ・∀・)「……過大評価ですよ」

 馬鹿みたいに陽気な、あの男がいた。



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 22:24:28.90 ID:Omy7nGea0

六話 いきのはじまり おわり



 
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