長岡速報

 
 
更新情報

ジョルジュ

Author:ジョルジュ
心母少女最終話更新
完結おめでとうございます。
08/03

新着記事+関連エントリー
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
作者
絵師
便利なサイト
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

( ・∀・)モララーは本格的に駄目なようです 一話 

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:22:18.73 ID:aUalDh0W0

 自分のしている事が恐らくただの現実逃避であると、不幸にも僕は知っていた。
 「恐らく」などと誤魔化す意味がない事も、「不幸」などと飾る意味がない事も、やはり僕は知っていた。

「さぁ、僕はこれからどこに向かうんだろうね?」

 誰ともなく尋ねてみる。
 それの答えを僕は知らない。
 ただ一つ知らず、比喩ではなく最期の希望となったこれに、僕は全てを投げ出してみる事にした。

「何をしたってやっぱり無駄なんだろうけどね。足掻くよ。最期くらい」

 呟いた僕の声は、やはり世界中の誰にも届かなかった。



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:22:55.97 ID:aUalDh0W0

一話 ことのはじまり




5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:23:26.37 ID:aUalDh0W0

 四月一日。エイプリルフール。「嘘を吐いても良い日」。
 どうしてこんな可笑しな風習がまかり通っているのか、そんな事を考えながら、僕の足はある場所へと真っ直ぐに向かっていた。
 今日は、僕の計画が始まる日。始める日。
 つい先日、高校卒業というイベントを終え、どうやら僕は何かを始めなければならなかった。
 ある者は進学し、ある者は就職し、またあるものはどちらにも向かわず堕ちてゆく。
 僕はそのどれにも、まるで興味が湧かなかった。
 何をしたって、無意味に思えてならなかった。
 そう思えてしまうのは、ただ僕がまだ「若い」からなのかも知れない。
 実際に、そんな風に言われた事もある。



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:23:56.73 ID:aUalDh0W0

 でも、だとしたら何だ。
 「若い」僕が「若い」思考に囚われるのは至極当然の事だ。
 僕は僕がしたい事しかしない。
 それで生きていけないというなら、それで良い。
 したくない事を人生の中心に置いてまで、生きていたいとは思わない。
 誰かがそれを「青臭い」と笑うなら、それも良い。
 ――僕は僕のしたいようにやる。
 だから、僕は「計画」を練った。
 決行は皮肉にも「嘘を吐いても良い」今日。
 何故、こんな可笑しな風習がまかり通ってるのか。それを僕は知らない。
 ただ、この計画が失敗に終わったら、僕の全てが嘘に変わるんだろう。



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:24:26.83 ID:aUalDh0W0

 頭の中で現実と比喩が混ざっていく。
 僕は現実だけを見失わないように、思考を巡らせる。
 「計画」というと、どこが仰々しいが、実際の所、僕は何も考えていなかった。
 大して時間を割いてもいない。
 端からこの計画は「なるようになる」という楽観の基に成り立っている。
 なるようになるかどうかは、全て僕にかかっていて、僕にしかかかっていない。
 僕の、僕による、僕の為の計画だ。



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:24:57.15 ID:aUalDh0W0

( ・∀・)「一々大袈裟だなぁ。我ながら」

 ネオン街を抜け、寂れた雰囲気の通りに出る。
 先ほどまでの喧騒は遠ざかり、知らず知らずの内に、異世界に迷い込んだかの様な錯覚。
 知らず知らずも何も、この計画は異世界に迷い込む為の計画だ。
 勿論、それはただの比喩なのだけど。

( ・∀・)「……尾布第三公園」

 目的地を前に、僕の足は止まる。
 何も怖気づいた訳ではない。
 一朝一夕で練り上げた拙い計画だが、失敗は許されない。
 他でもない、僕自身に。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:25:27.74 ID:aUalDh0W0

 手元の時計を確認すると、時刻はちょうど午前三時。俗にいう「丑三つ時」。

( ・∀・)「ふう……、良し」

 僕は胸の高鳴りを心地良く感じながら、計画の一歩目を踏み出した。



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:25:58.31 ID:aUalDh0W0

 公園の中は、やはり廃れていた。
 時間が時間なのもあるだろうが、恐らく日中も似たようなものなのだろう。
 こんな風俗街のど真ん中に子供が立ち寄るとは思えないので当然だ。
利用している人間がいるとしたら、たまに見かける酔い潰れたサラリーマンくらいだろう。
 数少ない例外――それが僕が今回接触しようとしている女だ。
 彼女を始めて見かけたのもここだった。
 その時、彼女は公園の中央付近に立ち、ただ空を見ていた。
 月が出ているでもなく、星が見えるでもない。
 ただ闇に包まれた空を、熱心に見つめていた。
 僕がしばらく影からそれを眺めていると、彼女は急に立ち上がり、公園を後にした。
 すれ違いざまに見た彼女の眼は、まるで死人のようだった。
 それから僕は彼女に興味を持ち、今に至る、という訳だ。



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:26:43.02 ID:aUalDh0W0

( ・∀・)「そろそろかな……」

 時刻は三時十分。
 調べが確かなら、彼女がここに現れる時間だ。
 とはいえ、この件に関して調べが確かでない可能性などないのだけど。

( ・∀・)「ほら、ね……」

 公園の入口に一つの影が現れた。
 煌びやかだが、それが逆にどこか安っぽいドレス。
それと対照的に飾り気がなく、それでいて十二分以上に整った幼い顔立ち。

从 ゚∀从「……」




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:27:13.29 ID:aUalDh0W0

 あの日とは違う満月が、彼女を照らし出す。
 ――間違いない。

( ・∀・)「……こんばんは」

从 ゚∀从「……あなたは誰?」

 突然声を掛けられた事に驚く風もなく、彼女は平然と答えた。
 僕は冷静に、言葉を繋ぐ。

( ・∀・)「誰でしょう? なんてね。君は?」

从 ゚∀从「教えない」



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:27:43.53 ID:aUalDh0W0

 表情一つ変えず、彼女は言った。
 元々、表情なんてないのではないか、と思わせる程の徹底した無表情だった。
 彼女が夜を生きる人間である以上、そんな事は考えられない。
 恐らく、僕と同じ全く違う人格を作り出せる人間なのだろう。
 そして、目の前の彼女――僕が知る彼女は所謂「主人格」。
 僕が狙うのは他ならぬそれだ。

( ・∀・)「実は知ってるんだけどね。源氏名なら」

从 ゚∀从「……ここで人に会うのは初めて」

 微妙に噛み合わない事を除けば、一応の会話は成立していると言える。
 僕は即席の「計画」に沿って、慎重に動かなければならない。



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:28:13.89 ID:aUalDh0W0

从 ゚∀从「私もあなたを知ってる……、”策士”」

( ・∀・)「あ、なら話が早い。良かったら、ちょっと話さない?」

 「策士」。
 馬鹿気たネーミングではあるが、それが一時期「夜」に携わった僕の名前。
 大袈裟ではあるが、その名前はこの狭い街で意外と知れ渡っていた。
 使えるものなら使っておこう。
 今、警戒すべきは「策士」の名を警戒させない事。
 実際に何かを企んでいる訳でもないのだから、堂々としていれば良い。



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:28:44.25 ID:aUalDh0W0

从 ゚∀从「話?」

( ・∀・)「そそ。さっきも言った通り、僕は君を知ってる……友達になりたいんだ」

 我ながら、胡散臭い台詞だと思った。策士が聞けば腹を抱えて笑うだろう。
 自ら「策士」を名乗った訳ではないのだから、関係はないのだけれど。
 もっともこの率直な発言も、彼女相手には変に手を回すより、正面から当たったほうが効果的だろう、という前調べから来ている。
 もし失敗に終わっても、そうしたら次の手を考えるまでだ。

从 ゚∀从「トモダチ?」



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:29:14.50 ID:aUalDh0W0

( ・∀・)「そう。僕には友達がいないんだ。そもそも”友達”の意味も分からない」

 嘘偽りのない、全くの本音。
 正確には、嘘偽りのない本音を纏った、偽者の自分。
 「計画」という名の虚構に守られた自分。
 そう思うと、計画の決行を今日にしたのは正解に思えた。皮肉ではあるが。 

( ・∀・)「何をどうしたら友達になれるのか、それは辞書に載ってないんだ」

 彼女は変わらず無表情で、僕の話に耳を傾ける。



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:29:44.88 ID:aUalDh0W0

( ・∀・)「でも……友達がいないのは、悲しい」

 一人ぼっちは寂しい。群れるのは虚しい。
 それは、どこまでも幼稚で、切実な独白だった。

从 ゚∀从「……良いよ」

 「あなたは私と似ている」と、彼女は変わらない無表情で言った。
 僕は笑顔を作って、「ありがとう」と言った。



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/11(金) 23:30:15.26 ID:aUalDh0W0

从 ゚∀从「一つだけ聞かせて?」

 続く言葉を待つ僕を真っ直ぐに見つめて、彼女はずいぶん時間を掛けてから、言った。

从 ゚∀从「……あなたは、誰?」

 彼女が初めて僕に見せる笑顔は可憐で、少しだけ僕に似ていた。



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:30:45.66 ID:aUalDh0W0

一話 ことのはじまり おわり



コメント















 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
 
http://georgenagaoka0807.blog87.fc2.com/tb.php/25-2118f647
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。