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ジョルジュ

Author:ジョルジュ
心母少女最終話更新
完結おめでとうございます。
08/03

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('A`)ドクオが地獄裁判所に就職するようです 

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/01(水) 22:41:52.15 ID:2fbGwRRqO
「なぜです。なぜです。なぜ受け取ってくれないのですか」

「それは貴様に渡したものだ。我々は受け取らない」

「私は酷い罪を犯しました。私はあの方を信じることができなかった」

「それは貴様自身の問題だ。貴様の罪ならば貴様で裁け。とにかくその銀貨は受け取れない」

「ならば私は死にましょう。鶏が三度鳴いたときに私は罪人となったのですから」

「これはどうした。本当に死んでしまったぞ」

「困ったものだ。我々が渡した銀貨を全て置いていっている」

「この銀貨は血に塗れている。神のおわす祭壇に上げることはできない。だから、この金で墓場を買おうではないか」


罪人達の墓場を――――――――――


('A`)ドクオが地獄裁判所に就職するようです




2 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 22:45:00.41 ID:2fbGwRRqO
  _
( ゚∀゚)「あ、君。そこのキミ!」

('A`)「はい。なんでしょう」

  _
( ゚∀゚)「君は自分がどうなったか分かるかね? つまり、ほんの少し前に君自身に何が起きたか、ということなんだが。分かるかね!?」

('A`)「さ、さあ?」

  _
( ゚∀゚)「死んだ! 死んだのだよ。君は!」


――――――――
――――――
――――


こんにちは。覇王院 毒男です。
享年23。ぶっちぎりの轢き逃げ(された)野郎です。

享年ってことは、あんた死んでんじゃんって皆は思ってますよね。
そうです。どうやら僕は死んだみたいです。

気付いた時には真っ白お花畑の上に立っていました。
ふんどし一丁で。



3 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 22:46:41.41 ID:2fbGwRRqO
それと、ここだけの零れ話をひとつ。
三途の川の近くで咲き乱れる真っ白な花。
水仙のような葉で、草丈は低く蕾の外側が白と緑で彩られた縦縞模様の綺麗な花。
アレ、どうやらオオアマナと言う名前が付いてるらしいです。
どうでもいいですけどね。

  _
( ゚∀゚)「さっきから何をぶつくさ言っているのかね。覇王院くん」

('A`)「語りです」

  _
( ゚∀゚)「そうか。痴呆症もほどほどにな」

('A`)「はい」

さて、本題に移りましょう。

ここはあの世。されどあの世。
僕が今いる場所は閻魔様のお膝元、全国天界裁判所の地獄本店なのだとか。
でも、地獄と言うわりにはかなりスッキリした施設ですね。
大企業のオフィスビルみたいな感じです。はい。



6 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 22:49:12.16 ID:2fbGwRRqO
  _
( ゚∀゚)「裁判所のくせに『店』ってなんだよwwwwwとか言わないでねwwww」


人気の無いとても長い廊下。
そして、僕の前を先導して歩いているナイス眉毛のスーツ戦士。
彼の名はアシッド=ガブラム=
ジョルジュさん。御歳45才。
たぶん僕の上司になるであろうお方です。

名前から察するに外国の方ですかと聞いてみたたら、どっこい生まれも育ちも徳島だと言うから驚きました。

  _
( ゚∀゚)「覇王院くん」

('A`)「はい。ジョルジュさん」
  _
( ゚∀゚)「プリンは好きかね」

('A`)「はぁ……まあ、出されれば食べるって感じですかね」

「ところで、採用初日から悪いけど今から研修始めるんでヨロシク」

('A`)「わかりました……あと、僕ツッコミ適性低いんであんまりハードル上げないで下さい」

  _
( ゚∀゚)「そうか。そいつは悪いことをした!」



8 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 22:51:34.99 ID:2fbGwRRqO
お伽話の設定とばかりに思っていた天国や地獄は実は本当に存在していて、
しかも、僕が死ぬ前にいた現世と変わらない立派な人間社会が構築されていました。

そのひとつが地獄裁判所。
現の世界からやって来た魂に罪と罰を与える場所。
たぶん、僕はここで働くことになるんだ。

  _
( ゚∀゚)「覇王院くん」

('A`)「はい。ジョルジュさん」
  _
( ゚∀゚)「一口に研修と言っても、君はまだ右も左も分からないウルトラベビーだ。先ずは経験よりも実感。この部屋に入ってくれたまへ」

('A`)「はい」

ジョルジュさんに通された部屋は、石とか木とかで丁寧に造られた30畳ほどの広間でした。
何処かで見たことがある光景だな、と思ったら

  _
( ゚∀゚)「ここは、裁判室だ」

とのこと。



10 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 22:53:19.91 ID:2fbGwRRqO
うん。
確かに証言台や傍聴席が設置してある。
テレビでよく見る裁判所の風景がそこにはありました。

('A`)「ジョルジュさん」

  _
( ゚∀゚)「なんだね、覇王院くん」

('A`)「地獄の裁判所って言うぐらいだから、僕はもっとおどろおどろしいものだと思っていました」

  _
( ゚∀゚)「イマドキ流行らないだろう。そーゆーのって。一応、君のイメージしていたであろう裁判室もあるけど見てみるかい? たぶん、一週間はまともに飯が食えなくなるけど」

('A`)「遠慮しておきます」

冒頭でも述べた通り、僕はお腹が空いてコンビニに肉まんを買いに行った直後に何処かの誰かに轢き逃げされた身です。
即死だったらしく、自分が死んだことや車に轢かれたという情報は全てジョルジュさんに教えてもらいました。

('A`)「どうせ死んだような人生だったし、別に未練はないんですけどね」



11 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 22:55:26.30 ID:2fbGwRRqO
未練はない。
ただ……死んだタイミングがマズかった。

肉まん購入ついでに今夜のオカズ(下半身的な意味で)をコンビニから調達した帰りに僕は死んだのです。
それを考えると、あまり穏やかな気分ではいられません。

アニソンをバリバリ流すヘッドフォンが道端に転がり、グシャグシャになった轢死体がエロ本を握りしめてるとか、シュール以外の何物でもないでしょう。
おまけに、エロゲ起動中のPCをつけっぱなしで外出したものだから、そっち方面も当然アウトです。

('A`)「想像してみて下さい。貴方の外付けHDDに、ベットの下に、机の中に、携帯のフォルダの中に『何か』を入れたまま死ぬ顛末を……」

ええ、死んでもなお恥辱に塗れるとかホントにキツイです。

読者の皆さん。
性癖周辺事情はできるだけクリーンに、かつシェイプにしておいた方がいいですよ。



13 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 22:58:09.23 ID:2fbGwRRqO
  _
( ゚∀゚)「覇王院くん。吉報だ。現世における君の遺物はご家族と友人(♀含む)の方々とできっちり整理されたそうだ。良かったな!」

こうなる前に。

从'ー'从「あれれ~? リクルートエージェントのジョルジュさんが裁判所にいるよ。どうしたのかな?」
  _
( ゚∀゚)「おや、ちょうど良いところに……覇王院くん。こちらの女性は、渡辺アヤカさん(24才・153センチ・38キロ・推定Bカップ・ウエスト細し・栗色の髪の毛は実は天然ではなく染めている
     ・最近レディーススーツを新調したが、ボディラインに見栄を張りすぎてお腹周りが少しキツイ・好物は蟹カマ)だ。見知っておきたまへ」

从'ー'从「なんか台詞の短さの割に内包された情報が多い気がするけど、気にしないでおくね」

('A`)「覇王院 毒男です。クールで背が高くて巨乳な女性が好みです」

从'ー'从「えっと……今の自己紹介は正式な宣戦布告と受け取っていいのかな?」



15 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:00:45.79 ID:2fbGwRRqO
渡辺さんは柔らかい笑みと少し広いオデコが特徴的な可愛いらしい女性です。
なんか、ポケットに苺のキャンディとか入れてそうな気がしますね。

从'ー'从「そうだ。キャンディ食べる?」

ほら。もう、なんて可愛いらしい女性なんでしょう。

('A`)「是非いただきます……うん、なんか濃ゆい味がする」

从'ー'从「ありゃ? これ苺キャンディじゃなかった……ハブとトカゲの漢方粉末入りキャンディだって。
    なになに、『警告:服用は自己責任でお願いします』」

('A`)「過半身が疼いて仕様がありません」

不可抗力的に投与された強精剤によって僕の下半身がエターナルフォースなんたらになっている時。
ジョルジュさんは用事があるからと言って僕と渡辺さんを残してどこかに行ってしまいました。

('A`)「あの。これから僕はどうすれば……」

从'ー'从「この部屋は簡易裁判所だよ。ジョルジュさんがドックンをここに連れて来たってことは、ここで行われる裁判を見てみろってことじゃないかな?」



16 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:02:13.48 ID:2fbGwRRqO
('A`)「なるほど」

从'ー'从「ジョルジュさんがドックンを連れて来たってことは、ドックンはジョルジュさんにスカウトされたんだよね」

('A`)「ええ。なんか三途の川でバタフライしていたら、マジックハンドみたいなので捕まえられました」

从'ー'从「うんうん。最初は皆そうなんだよ」

('A`)「え、渡辺さんもマジックハンドに? あれ、僕の■■■を■■■■したものだから■■■が■■して死にかけたんですよ」

从'ー';从「違う違う。あのね。私達が今いるこの世界……天界にも社会が存在することはドックンも分かってるよね」

('A`)「ここに来る前にいろんな場所を通りましたけど、普通に商店街とか道路とかありましたね。殆どシャッター街でゴーストタウンでしたけど」

从'ー'从「現世と唯一違うのはいつも青空でやたらと静かってことぐらいかな。後者は人が少ないからだけどね」



17 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:03:32.33 ID:2fbGwRRqO
('A`)「じゃあ渡辺さんも元々は現世の……」

从'ー'从「うん。私の場合は事故死じゃなかったけどね~」

('A`)「へぇ」

从'ー'从「死因、知りたい?」

('A`)「……渡辺さんさえ良ければ」

从'ー'从「ふふふ、こんな感じなのです」

何故か、にやにやと笑う渡辺さんは懐から一枚の写真を取り出した。

('A`i|)「う……こ…れは……」

从'ー'从「わかる? これさ、人間がやったんだよ」

('A`;)「…………」

渡辺さんに写真を返した僕は、今すぐトイレに行きたい衝動に駆られました。
でも、流石にそれは彼女に失礼なのでハブ・トカゲ連合キャンディが与えし精力パワーで我慢します。



18 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:05:30.16 ID:2fbGwRRqO
('A`)「なんでそんな物を持ってるんですか?」

从'ー'从「持ちたくて持ってるわけじゃないんだけどね」

('A`)「?」

从'ー'从「捨てられないんだ。燃やしても、水に流しても、切り刻んでも、気付いたらポケットに入っている。摩訶不思議~」

('A`)「な、なんでそうなるんですか?」

从'ー'从「さあ~?」

屈託のない笑顔で首を傾げる渡辺さん。
大きな黒い瞳はくりくりしていて、見ているこちらが癒されます。
でも、何故か彼女の眼の奥には表情とは違う何かが漂っているように僕は感じました。

川 ゚ -゚)「おぃーす」

从'ー'从「あ、クーちゃん。おはよ~」

川 ゚ -゚)「おはよう渡辺。相変わらずアナコンダがベリィ・トゥ・ベリィを喰らったような顔をしているな」

('A`)「巨乳・黒髪・超絶美女だと? なんて奴だ。これで額縁眼鏡をかけていたら世界が終わっていたぜ……」



20 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:08:22.57 ID:2fbGwRRqO
川 ゚ -゚)「む、私はコンタクト派だ。ホントの私デビュー」

('A`)「東城を眼鏡からコンタクトに転向させた真中の行動は賛否両論に別れている」

川 ゚ -゚)「まさかあのヘタレが西野を取るとは思わなかった」

从'ー'从「何かを期待しているようだけど、基本的に私は突っ込まないからね」

渡辺さんと同じレディーススーツに身を包んだ長髪高身長の女性は、自らを素直クールと名乗りました。
クールと言うからには英語圏の生まれでしょうか、と尋ねると生まれも育ちも長野県と言うから驚きです。

川 ゚ -゚)「ふぅん。じゃあ君が覇王院 毒男くんか」

あれ? 僕まだ名乗っていませんよ。

川 ゚ -゚)「面倒を見て欲しい奴がいる。どうしようもない不細工がいたら、それがドクオだと言われたんだ」

从'ー'从「モミアゲは綺麗なのにねえ」

('A`)「渡辺さん。中途半端なフォローはやめて下さい。モミアゲ以外に賛美するポイント見つからなかったんですか」



22 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:09:19.63 ID:2fbGwRRqO
川 ゚ -゚)「おい不細工。これから簡単な略式裁判が始まるから傍聴席に座っていてくれ。
      それでこの組織の零囲気がだいたい分かるだろう」

从'ー'从「じゃあ、あっちの席に行こうか不細工」

('A`)「言っておきますけどね。家の洗面台の鏡じゃけっこうイケメンに映るんですよ僕は」

川 ゚ -゚)「それと、先程の私の台詞で『ふんいき』と読んだ奴は名前覧に”小学生から出直します”と記してからレスしておけよな」



26 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:12:32.69 ID:2fbGwRRqO
木製の長椅子に座って待つこと十分。
ついに裁判が始まりました。

傍聴人が僕と渡辺さん以外いないことから、この裁判の重要度は現世で言うところの万引きだとか引ったくりの部類に入るのでしょうか。
僕達より少し高い場所に座った素直さんが、いつの間にか配置についていた警備員らしき人に無言で合図を送ります。

从'ー'从「被告人。入場~」

警備員「渡辺二等裁判官。審議中は静粛に願います」

( ´∀`)「モナモナ」

渡辺さんがシュンとしている時、両手に警備員を従えた中年男が裁判室に入ってきました。
ベタな表現ですが、くたびれたスーツを纏う五十代後半のオジサンですね。

川 ゚ -゚)「茂奈 靖(モナ ヤスシ)だな?」

( ´∀`)「はいモナ」

議長席というヤツでしょうか。
1番立派な木彫りの椅子に座ったクールさんがモナさんを見下ろしています。
クールさんは裁判官だったんですね。



28 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:15:36.79 ID:2fbGwRRqO
川 ゚ -゚)「茂奈 靖。君は自分の置かれている立場を既に理解していることと思う。なので、この裁判では――――」

( ´∀`)「地獄へ送って下さいモナ」

川 ゚ -゚)"「一切の人権は……む、今なんと言った?」

( ´∀`)「私を地獄に落として欲しいと言ったんです。裁判官さん」

('A`)「…………」

从'ー'从「(ねぇ、ドックン。今おトイレに行ったらマズイかなあ?)」

('A`)「(大ですか?)」

从'ー'从「(ち、ちがうよう……)」

川 ゚ -゚)「茂奈 靖。君は地獄に堕ちたいのか? 天国には行きたくないのか?」

被告人の意外な要求にクールさんは興味をそそられたようです。
茂奈さんはクールさんの質問に強く頷き、独白を始めました。

( ´∀`)「モナは……私は現世では神にお仕えする身でした」

川 ゚ -゚)「生前の職業は営業マンと書いてあるが」

( ´∀`)「クリスチャンなんです。物心ついたときから父と母に連れられて教会に通っていました」



30 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:17:46.70 ID:2fbGwRRqO
川 ゚ -゚)「それと今回の要求になんの関係がある?」

( ´∀`)「裁判官さん。私はこの世に生を受けて55年……イエス・キリストの教えを忠実に守ってきました」

( ´∀`)「辛いときも苦しいときも、神が与えたもうた試練なのだと言い聞かせて生きてきました」

从'ー'从「(あかん、限界やわ)」

('A`;)「(ちょww関西弁wwwえ? 限界?)」

( ´∀`)「しかし、現実とはやはり厳しいものですね。一生懸命尽くしてきた会社からあっさりと首を切られ、路頭に迷う羽目になりました」

川 ゚ -゚)「そして自殺したと」

( ´∀`)「受動的でたいした取り柄のないシジイをこのご時世で雇う余裕のある会社などございません。未婚だったのがせめてもの救いでしょうか」

川 ゚ -゚)「君のおおよその人生はこのレポート一枚に全て纏められている。無論、今話したことも全てな。
    私は地獄に堕ちたいと君が希望する理由を聞いているんだ。
    老人の語りは十分だから、そろそろ腹の内を見せてもらいたいな」



31 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:19:11.93 ID:2fbGwRRqO
レポート一枚ですか。と茂奈さんは寂しそうに笑いました。
彼の気持ちは分からなくもありません。
半世紀近くかけて歩んできた自分の人生が、あんな小さな羊皮紙に集約されてしまうのは、やはり気分が良いものではないでしょう。
人生とはもっと厚みがあっても良い筈です。

( ´∀`)「キリスト教……私はプロテスタントでしたが、当然神から与えられた命を反古にすることは許されません」

川 ゚ -゚)「たいがいの宗教は自殺を固く禁じているな」

( ´∀`)「私はその禁忌を破った。私は……モナは……神が与えたもうた苦難に打ち勝てなかったのです」

川 ゚ -゚)「だから自分は地獄に堕ちるべき、と?」

( ´∀`)「はい」



32 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:22:27.14 ID:2fbGwRRqO
その後の沈黙は随分長かったような気がします。
実は関西出身の渡辺さんが股間周辺をモジモジとさせる様に戦々恐々としながら、僕はじっと裁判の行方を見守りました。
裁判と言うからにはきっと憲法や民法といった法律事典があの世にも存在する筈です。
クールさんは果たしてどのような裁決を下すのでしょうか。


川 ゚ -゚)「判決。地獄行き」

( ´∀`)「慎んでお受け致します」

('A`)「…………」

地獄行き。
茂奈さんは嬉しそうに微笑みました。
何故、彼は地獄行きなのだろう。
とても紳士的な対応をしているし、自殺した理由だって世の風当たりが原因です。
情状酌量の余地はないのでしょうか。


34 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:24:55.57 ID:2fbGwRRqO
川 ゚ -゚)「自殺は大罪。冥府が総帥。十王にして閻魔羅大山布君の名において、茂奈 靖の獄寒地獄行きを命ずる」

( ´∀`)「天にましまます我らの父に栄光を」

川 ゚ -゚)「んじゃ。お開きということで、閉廷!!」

('A`)「…………」

警備員に連れられて来た時と同じように去っていく茂奈さん。
こんな……こんなに簡単に判決が出てしまうのでしょうか。
僕は法律には詳しくありませんが、現世では、少なくとも日本の裁判では審議はもっと慎重に行われていた筈です。
それに裁きを下すのが素直さん一人というのも何だか独壇地味ていてシックリきません。

川 ゚ -゚)「とまあ、こんな感じだ。どうだ? 愉しかったか?」
('A`)「……そういう問題なのでしょうか」

从'ー'从「ふぅ。スッキリした~」

('A`)「あれ、結局トイレに行ったんですね渡辺さん」

从'ー'从「え、行ってないよ?」

('A`)「え?」

从'ー'从「え?」



36 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:26:58.06 ID:2fbGwRRqO
('A`)「あの、素直さん」←聞かなかったことにした

川 ゚ -゚)「なにかな?」

('A`)「やっぱり自殺とかは罪になるんですね」

川 ゚ -゚)「ん? そうなのか?」

僕の質問に首を傾げる素直さん。
いやいや、だってさっきの裁きで素直さんが自殺は大罪と言っていたじゃないですか。

川 ゚ -゚)「ハッハッハッ。もしそれが本当なら、私も罪人だな」

('A`)「?」

川 ゚ -゚)「当然のことだが、私もかつては現世で詰まらない人生を歩んできた人間のひとりだった」

('A`)「…………」

川 ゚ -゚)「私の死因は脳の焼死。時計に強力な電源を仕掛けて自殺したんだ。ちょうど深い眠りについた時に楽に逝けるようにな」

('A`)「じゃあ、なんで……」

川 ゚ -゚)「疑問に思うのも仕様がない。だが、それは君自身が気付くべき問題だ。私や渡辺は手助けできんぞ」



38 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:29:11.09 ID:2fbGwRRqO
意味深な台詞を僕に言う素直さん。

疑問。
こちらの世界に来てからこっち、僕の頭の中は疑問符号で埋めつくされています。

立派な街があるにも関わらずあまりにも少ない人口。
裁判になっていない裁判。
そして、僕がここに連れてこられた理由。

川 ゚ -゚)「さあ、研修はまだまだ続くぞ。次は別の裁判を見てみるとしよう」

('A`)「了解です」

从'ー'从「今のは略式裁判だったけど、次のはドックンにも興味深いやつだと思うよ」

ほう、それは楽しみです。
今日はもう上がりらしいクールさんに連れられて僕は真っ白な廊下をスタスタと歩きます。

やがて案内された場所はさっきの裁判室の五倍はあろうかという大裁判場。
鬼とも仏とも区別できない彫刻がそこら中に飾られ、この場に立っているだけで何かに踏み潰されるような錯覚に陥ります。



40 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:31:48.65 ID:2fbGwRRqO
川 ゚ -゚)「じゃあ頑張れよ渡辺」

从'ー'从「ほ~い」

('A`)「次は渡辺さんが裁くんですか」

川 ゚ -゚)「いや、今回の彼女は守人役だ。被告人が暴れた時に裁判官を守り、脅威を制圧する仕事に就いている」

从'ー'从「つまりヒーローなのです」

おお、なんかカッコイイ。
要するに守衛みたいなものなんですね。

川 ゚ -゚)「守衛程度にこの仕事が勤まればいいんだがな」

('A`)「え? どういう意味です?」

  _
( ゚∀゚)「はい! 静粛に! 静粛にィ! 裁判を始めるよ!」



41 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:33:56.39 ID:2fbGwRRqO
ジョルジュさんです。
スーツ戦士のジョルジュさんがバタバタと慌ただしく裁判室に入ってきました。
彼は僕とクールさんを見遣ると適当な傍聴席に座るよう促し、
手元のボードに何かを書き込みながら、これから始まるであろう裁判の準備をテキパキと進めていきます。
  _
( ゚∀゚)「よし、準備OK。これより開廷。先生、よろしくお願いします!」

爪'ー`)「はいはい。宜しくね」

('A`)「(なんか胡散臭い人ですね)」

川 ゚ -゚)「(一応、凄く偉い人だぞ。君の未来の上司なんだから粗相のないようにな)」

  _
( ゚∀゚)「守人担当の方は後方に待機して……あれ、今日は渡辺君だけ?」

从'ー'从「頑張りまーす」
  _
( ゚∀゚)「なんか不安だなあ。ちゃんと武器持ってきてる? この前みたいなことは御免だよ」

从'ー'从「大丈夫ですよ。兵器顧問の方にお願いして、今日は甲型を持ってきましたから」

  _
(;゚∀゚)「君、この部屋を木っ端微塵にするつもりかい!? そんな物持ち込んでどうすんの!」



42 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:35:48.75 ID:2fbGwRRqO
爪'ー`)「なんでもいいから始めようよ。あ、渡辺君。その甲型はボクにだけは当てないでくれよ」

从'ー'从「善処しますです」

  _
(;゚∀゚)「ひ、被告人入廷!」

慌ただしく始まった裁判。
僕と素直さんが見守る中でやって来たのは、茂奈さんのようなどこにでもいるようなサラリーマン……


(´゚ω゚`)「マンじゅう! マンジュウ!」


……ではなく、なんか凄いテンションの高い若者でした。

爪'ー`)「下眉 バーボン君だね?」

(´゚ω゚`)「おっぽぽビッチ! マメマキ!マメマキ!」


47 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:39:42.93 ID:2fbGwRRqO
  _
(;゚∀゚)「こ、コラ! 暴れるな!」

バーボン君は付き添いの警備員を吹き飛ばすと、裁判長に襲い掛かろうと暴れ出します。
「だから実務配属は嫌なんだ!」と叫びながらジョルジュさんはバーボン君を静止しようと試みますが……

≡´゚,ω゚`≡「バルス!」ブチァ!

(;゚∀゚)「ぐわー! 私の眉毛がー!」

大変です!
ジョルジュさんの眉毛がバーボン君に食いちぎられました!
直ぐさま隣に座っていた素直さんが懐から味付け海苔を取り出して、床の上を転げ回るジョルジュさんに投げ付けます。

  ■
( ゚∀゚)「助かったよ素直君! やはり君の胸は伊達じゃないな!」

川 ゚ -゚)b グッ「…………」


50 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:41:49.60 ID:2fbGwRRqO
('A`)「なんかあの被告人は穏やかじゃないなあ」

爪'ー`)「下眉くん。君は現世でキノコの栽培を生業にしていたらしいね。
    報告書にはそれの食べ過ぎで死んだと……え、大腸の破裂? なんで?」

  ■
( ゚∀゚)「内臓の大量失血によるショック死ですな!」

爪;'ー`)「ちょっと待ってよ。これじゃあ条件が……なんで彼はココに?」

  ■
( ゚∀゚)「お上が転送を間違えたのかと!」

(´゚ω゚`)「ポッポルンガ!」


52 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:43:54.15 ID:2fbGwRRqO
どうやらバーボン君は何かの手違いでココに連れてこられたみたいですね。
涎を垂らしつつ背中から触手を生やした垂れ眉毛を指刺しながら、裁判官とジョルジュはヒソヒソと話し込みます。

≡┌(´。。ω。。`)┘「ウキョキョキョキョキョキョキョキョキョキョ」

川 ゚ -゚)「あ、ヤバイ。あれヤバイよ」

('A`;)「なんですかアレは。もはや人間じゃ……うわ、ブリッチしながら走ってる……」

  ■
(#゚∀゚)「私の味付けノリは渡さんぞ! 渡辺君、やっちゃってくれたまへ!」

从[∵目∵]从「やっと出番だよ~」

ガシュ、という音と共に近未来チックなスコープを取り付た渡辺さんが(何処に隠し持っていたのでしょうか)巨大な大砲を肩に担いで登場しました。


54 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:46:42.63 ID:2fbGwRRqO
从[∵目∵]从「甲型はベクターキャノンモードに移行。エイダシステム起動。アイゼン・ロック。
       メタトロン収束。臨界点へ。チャンバー内正常加圧中……ライフリング回転開始……です!」

青白い稲妻が渡辺さんをの周囲を激しく取り巻きます。

(´。゚。W。゚。`)「シンゴォ! シンゴォォオ!」

从[∵目∵]从「ごめんね~。お仕事だから~」

閃光。そして疾駆。
悍ましい雄叫びと共に、バーボン君は青白い極太の光に飲み込まれていきました。



56 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:48:03.11 ID:2fbGwRRqO
从[∵目∵]从「汚物は消毒やでぇええ!!」

(´。゚。W。゚。`)「オッパいのペラペラソォォオオオオス!!」
(´。゚。W。゚。`:
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60 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:50:57.61 ID:2fbGwRRqO
('A`;)「ん?」

(`・ω・´)「おっ!? なんだココは?」

なんか凛々しいオッサンが出てきました。

爪'ー`)「再構築? あれは元の人格なのかな?」

  ■
(;゚∀゚)「(うわぁ。人格復元て……超イレギュラーじゃないか……また上司に怒られる……)」

(`・ω・´)「おかしいぞ。確か俺は新型キノコの試食をしていた筈なんだが……」

('A`)「キノコ開発者の方でしたか」

(`・ω・´)「うむ! 聞いて驚くなよ。俺が新たに開発したキノコは『下から食べるキノコ』なんだ!」

川 ゚ -゚)「下からだと。大変興味深いな。どういう意味だ」

(`・ω・´)「俺達人間はいつも口から食物を摂取しているだろう。
      人間とはチクワのようなものだと昔の偉い人は言った! 人間の身体の中は一本の道でできていると!」



61 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:53:28.64 ID:2fbGwRRqO
('A`)「ああ……食べ物は食道から大腸まで進んでいきますからね。チクワとは言い得て妙ですよ」

(`・ω・´)「うむ! そこで、俺は疑問に思ったのだ。『上側から食い物が入るなら、下側からも入るんじゃね?』と!」

川 ゚ -゚)「それはつまり(`・ω・´)「そうだ! 俺が開発したキノコは尻穴からたb('A`;)「うぉい!皆まで言うな!!」

阿呆だ。
このオッサンは阿呆です。

(`・ω・´)「なんだなんだ! 俺は早く家に帰って試食の続きをせねばならんのだ! ところでここは寒いな! 誰かパンツをくれないか!」

  ■
(;゚∀゚)「チ○コでけぇ!!」

从[∵目∵]从「目障りです~。死ね」

('A`;)「まさか死因の直腸の破裂って、お尻にキノコを入れ過ぎたのが原因じゃ……」

(`・ω・´)「ぐわっ何をする! 離せ、俺には南明奈という愛妻がいるのだ!!」

川#゚ -゚)「嘘吐けよ! アッキーナは私のものだ!」


63 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:55:16.15 ID:2fbGwRRqO
その後、蹴ったり叫んだりの大乱闘の末にバーボン君(改)は亀甲巻きで吊るし上げられた末にどこかに飛ばされました。

(`・ω・´)『直腸から栄養を吸収して何が悪い! 間違っているのは世界の方だ!』

という彼の捨て台詞は、迷言として心に留めておきます。

爪'ー`)「はいはい。それじゃあ次の人を呼ぼうか」

柄の悪いスーツを着込んだ裁判官さんが、貼り付きが悪くなった海苔を一所懸命直しているジョルジュさんに合図を送りました。

  ■
( ゚∀゚)「素直君。新しい海苔をくれないか、なんかベトベトしてきた」

川 ゚ -゚)「韓国海苔ならあるぞ」

  ■
( ゚∀゚)「じゃあ、それをいただこう」

('A`)”「あ。新しい人が来ましたよ」

ξ゚⊿゚)ξ「…………」



64 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:56:19.22 ID:2fbGwRRqO
裁きの場にやって来た新たな罪人は小柄な少女でした。
まだ中学生ぐらいでしょうか。
綺麗なセーラー服に身を包んだ金髪の少女は何処かのアイドルのようにも見えます。

爪'ー`)「津出 麗子さんだね?」

ξ゚⊿゚)ξ「はい」

  ≡ ←
( ゚∀゚)「津出 麗子(14)自身の父と祖父、そして祖母を殺害。その後は自殺。今に至る。間違いないな?」

ξ゚⊿゚)ξ「はい」

('A`)「(なんか歳の割に大人びてるなあ)」

从[∵目∵]从「ロリコンですか? とんだクズ野郎ですね!」

('A`;)「感想を言っただけなのに変態扱いですか。いや、まあ確かに年下が好きですけど……」

从[∵目∵]从「黙りなさいです。貴方のお母様が遺品の処分に困っていますよ!! この下衆!!」

(∩A∩)「なんで『マジカルロリータ☆ザルビオス』なんてエロゲ買っちゃったんだろ……間違ってるのは世界の方だろう」


66 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:58:18.03 ID:2fbGwRRqO
爪'ー`)「津出さん。貴女は就寝中の無抵抗な人間……しかも肉親を殺害した。
     これは一般に考えれば非常に非人道的な行為だ」

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

爪'ー`)「しかも。万一、一撃で殺せなかった時のために被害者の口を封じた上で刺殺するという周到さ。
    とてもじゃないが、思春期の女の子が出来るような芸当ではない」

('A`)「……あ!」

思い出しました。
日本某所で発生した一家殺人事件。
犯人は母親以外の家族を皆殺しにした無垢な一家の娘。
その姿の美しさも相俟って、週刊誌がずいぶんと騒いでいたことを覚えています。

僕が死ぬ少し前の出来事でした。
顔は知らなかったけど、きっと証言台に立っているあの子が件の犯人なのではないでしょうか。



67 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/01(水) 23:59:54.93 ID:2fbGwRRqO
  ≡
( ゚∀゚)「津出 麗子。君はイデア界から与えたもうた他者の命を身勝手に抹消した。罪の意識はあるか?」

ξ゚⊿゚)ξ「いいえ」

爪'ー`)「どうしてかな?」

ξ゚⊿゚)ξ「”どうして?” 何故そんな質問をするのでしょうか。
     私は正義を執行したまでです。罪や罪悪感に捕われる理由はありません」

爪'ー`)「だが殺人は罪だ。学校で習わなかったかい?」

ξ゚⊿゚)ξ「なら、今世界中で戦争をしている人達はみんな死刑になるべきです」

爪'ー`)「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「警察や軍隊が人を殺しても罪に問われないのは、そこに正義があるからでしょう。
      なら、私だって正義があれば人を殺しても裁きを受ける必要はありません」

爪'ー`)「君にはどんな正義があったんだい?」

ξ゚⊿゚)ξ「母の命を守ることです。母は父方の祖父母から執拗な虐め……いえ、暴力を受けていました。
      本来ならばそれを止めるべき父も見て見ぬふりをする始末」

爪'ー`)「だから、殺した?」

ξ゚⊿゚)ξ「はい。それ以上の理由があるでしょうか」


70 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/02(木) 00:01:50.22 ID:fT+8rRAxO
爪'ー`)「自殺をした理由は? 身内を殺したという自責に駆られたのではないのかい」

ξ゚⊿゚)ξ「母に死ねと言われたからです」

そこから先の話はとても聞けたような内容ではありませんでした。

正義を”執行”し、これで家族に平和が訪れたと安堵した津出さんは、まだ就寝中だった母親をそのまま起こしに行ったそうです。
血だからけの包丁と細い腕をぶら下げながら、嬉しそうに”悪”の駆逐完了を報告する娘を見た母はいったい何を思ったのでしょうか。
少なくとも、最初の一言は無垢な少女が期待していた内容ではなかったのでしょう。

ξ゚⊿゚)ξ「私の正義は母にあります。母は父と祖父母を殺した私を愛してはくれませんでしたが、
     私はこれできっと母が人生をやり直せるものだと信じています」

爪'ー`)「……言いたいことはそれだけ?」

ξ゚⊿゚)ξ「はい」

爪'ー`)「これより審議に入る。一度、休廷!」

振り上げられた木槌が大きな部屋に響きました。

――――――――
――――――
――――



71 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/02(木) 00:03:37.62 ID:fT+8rRAxO

('A`)「どうなるんでしょうか。彼女は」

川 ゚ -゚)「さあな。判決を下すのはフォックス一等裁判官だ」

('A`)「可能なら軽めの罰を与えて欲しいものです。あんな小さな子が地獄に堕ちるだなんて酷ですよ」

从'ー'从「ドックンは優しいねえ」

休廷に入ってから三十分。
裁判官とジュルジュさんが再び法廷に入ってきました。
それに合わせて、津出さんも警備員に挟まれて入廷します。

そして、

爪'ー`)「判決、無罪。被告人の殺害動機には正当性が認められる。
    津出 麗子。右の手に七つの星を持つ方、七つの金の燭台の間を歩く方の御名において、
    エフェソの教会への送還を命ずる」

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

無罪。
これには驚きました。
セーラー服の少女はじっと裁判官を見つめ、やがて小さく頭べを垂れると法廷を後にします。

('A`)「(まさか無罪とは)」

川 ゚ -゚)「ふん、顔で選んだかフォックス裁判官? 教会送りとは贅沢な」

爪'ー`)「聞こえてるよ素直一等裁判官。今日は立て込んでいるからテキパキ進めなきゃね。次!」


74 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/02(木) 00:05:42.58 ID:fT+8rRAxO
( ^ω^)「おっおっおっ」

続いてやって来たのは程よく肥えた豚……失礼、ふくよかな身体を持つ人物でした。
年齢的には僕とさして変わりはないでしょうか、ニヤニヤ顔が特徴的な二十歳の青年です。

爪'ー`)「内藤ホライゾン。大学二年生。今年で二十歳か……今日は若い子がよく来るな」

( ^ω^)「マジやってられんお。せっかくイイ女引っかけてヤれそうだったってのに……オッサン、とっとと終わらせてくれお」

爪;'ー`)「お、オッサン……」

('A`)「なんか柄が悪いなあ」

川 ゚ -゚)「ああいうのを屈服させるのも面白いかもな。性的な意味で」

从'ー'从「さすがクーちゃん。そこに痺れる憧れる~」

爪'ー`)「内藤 ホライゾン。君は会合の後の帰宅中に交通事故を起こし、通行人を巻き込んで家屋に衝突。死亡した。間違いないな?」

( ^ω^)「あ~、そうだお。あの糞野郎がとろとろと道を歩いていなきゃ……あ゙~クソッ! 思い出したら腹立ってきた」



75 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/02(木) 00:07:00.50 ID:fT+8rRAxO
爪'ー`)「内藤。君は件の交通事故で無関係の人間をひとり殺しているんだぞ。それについての弁明はあるかな?」

( ^ω^)「はいはい。悪いと思ってますお。でも、あんな遅い時間帯に狭い道を歩いているほうも悪いし、
       ボクも死んでるんだからおあいこでしょ?」

  ≡
(#゚∀゚)「君が死んだのは自業自得だろう! 被害者の青年に申し訳ないと思わなかいのか!?」

(#゚ω゚)「だから、思ってるって言ってんだろ! こっちだって死んでショックを受けてんだお。人の気持ちを考えろお。この糞眉毛!」

  ≡
( ;∀;)「ヒドイ! 好きでこうなったわけじゃないのにぃ!」


76 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/02(木) 00:08:48.19 ID:fT+8rRAxO
もう、その後はぐだぐだ。
反省の色を見せない内藤さんと涙目になった韓国眉毛の長岡さんのイタチごっこが続き、
ラチが開かないと踏んだ裁判官がガンガンと槌を叩いてやっと静かになりました。

爪'ー`)「とりあえず、さ。判決を出しちゃいたいから細かい罪状を読み上げてよジョルジュ君」

( ^ω^)「地獄行きとかほざいたらマジで殺すからな」

  ≡
( ゚∀゚)「罪状。内藤ホライゾンは泥酔した状態で車を運転、コンビニで買い物を終えて帰路につく途中の青年を轢き逃げする――――――」

('A`)「……コンビニ」

  ≡
( ゚∀゚)「青年を車輪に巻き込み50メートルほど疾走した後、タイヤと車体に挟まれた青年を外して再び車で逃走。
     その後の顛末は冒頭陳述の通り、間違いないな?」


78 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/02(木) 00:11:52.57 ID:fT+8rRAxO
( ^ω^)「ああそうだお。あの糞野郎、ヘッドフォンなんかで音楽聞いてるから轢かれるんだお。
       フラフラ歩きやがって。こっちが近付いて来たら自分で避けろってんだお」

……ヘッドフォン?

川 ゚ -゚)「どうしたドクオ。顔色が悪いぞ」

('A`)「あ、いえ」

爪'ー`)「被害者の青年は本当に不運だ。腹を満たす為にたまたま買い物へ出た日に彼と出会ってしまうとはね」

(#^ω^)「だからこっちも被害者だっつってんだろ糞が」


……食料調達。

コンビニ。ヘッドフォン。肉まん。


まさか―――――



まさか、





82 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/02(木) 00:14:28.11 ID:fT+8rRAxO
川 ∀ )「どうしたドクオ。本当に顔色が悪いぞ。トイレ行くか? うん?」

从 ー 从「ドッ君だいじょーぶう? お水いる~?」

( A i|)「いえ……ほんと……だい…じょうぶ……なんで……」

川 ー )「そうか。そいつは良かった」

  ≡
( ゚∀゚)「被告人。内藤ホライゾンに反省の色なし。裁判長、判決を!」

Σ( A i|)「ッ!?」



84 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/02(木) 00:16:28.54 ID:fT+8rRAxO
爪'ー`)「やれやれ。では判決を言い渡すよ」


やめろ。


爪'ー`)「判決――――――」


やめてくれ!


( ^ω^)「…………」


爪'ー`)「無罪。内藤ホライゾンを黄泉送りとする」

(;A;)「あ……」

川 ゚ -゚)「おやおや。今日は無罪が多いなあ……フフ、宗教が廃れたせいかなあ」

( ^ω^)「ふん。当然だお」

唾を証言台に吐き捨てた内藤さんは、今までの被告人達と同じように警備員に連れられて退室します。
と、そのとき彼の細く鋭い目が傍聴席に立つ僕を捉えました。


86 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/02(木) 00:17:58.91 ID:fT+8rRAxO
( ^ω^)「…………」

(;A;)「…………」

( ^ω^)「…………」ナンダコイツ

(;A;)「…………」

( ^ω^)「…………」

(;A;)「…………」

( ^ω^)「…………」キモッ

(;A;)「……君」

( ^ω^)「あ?」

(;A;)「きみ……君は、僕のことを知っているかい……?」

( ^ω^)「…………」

( ^ω^)「知るかお。 喋りかけんな不細工」

( A )「…………」


91 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/02(木) 00:22:46.13 ID:fT+8rRAxO
この瞬間。僕は全てを悟りました。
この裁判の仕組みを。
この世界の意味を。

爪'ー`)「ふう。やっと終わった。ジョルジュ君。僕は先にあがるよ」

何故、クールさんや渡辺さんが地獄にいるのかを。
何故、僕がここに呼ばれたのかを。

  ≡
( ゚∀゚)「お疲れ様でーす。あ、君達も今日は終わっていいよ。覇王院君はあとで僕のところに来てね。アパートの紹介するから」

僕の知る罪は所詮は唯物世界で通用する罪だったのです。
なんと……なんと酷い。しかし誰もが納得する裁判なのでしょうか。


93 : ◆c5oiYmauGw :2009/07/02(木) 00:25:30.97 ID:fT+8rRAxO
( A )「……素直さん。渡辺さん」

川 ゚ -゚)”「なんだ」

从'ー'从「なーにい?」

( A )「僕は……いつから罪人になったのでしょうか」

川 ゚ -゚)「それを教えるのは私達の役目ではないなあ」

从'ー'从「うふふ。ドッ君も今日から私達の仲間だね」

仲間。僕は彼女達の仲間。

川 ゚ -゚)「ああ、何はともあれ就職おめでとう。歓迎するよドクオ君。ようこそ――――――」




罪人の園。
ベツレヘムの星が咲くポッターズ・フィールドへ。




~了~




('A`)ドクオが地獄裁判所に就職するようです
ttp://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1246455712/
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