長岡速報

 
 
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ジョルジュ

Author:ジョルジュ
心母少女最終話更新
完結おめでとうございます。
08/03

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( ^ω^)現実消去のようです 第二話 

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:20:22.63 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「さて・・・・・・ここは何処だお?」

内藤が目を覚ますと、そこは空虚な世界だった。
果てなく続く白の大地、空にも色彩を感じ取れない。
自身の存在が異端なのではないかと感じてしまう程、何も無かった。

( ^ω^)「ここが自由な世界なのかお?
       確かに自由だけど、これは嬉しくないというか・・・・・・」

|::━◎┥「ようこそ、アンリアルの世界へ。
      初めてプレイする方に説明をさせて頂きたく存じます」

(;^ω^)「のわぁ!!?」

独り言に浸っていると、気付かぬ内に背後には一人の男がたっていた。

もっとも女という可能性もあった。
中性的な顔立ち、生物というよりかは人形のような雰囲気を纏っていた為、仮定的な判断である




62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:21:49.17 ID:ei0xbLyY0
|::━◎┥「まずは初期設定を行うのですが、」

(;^ω^)「ちょっ、まっ、その前に君は誰なんだお?」

|::━◎┥「私に名前など必要ありません。
      設定、及び説明を行うためだけにいる存在なのですから」

( ^ω^)「むむ・・・・・・そうなのかお・・・・・・」

機械的な返答。表情も一切変わらない。
人間とは思えず、人形と会話しているようであった。


( ^ω^)「じゃあ、えと、ここは何処なんだお?」

|::━◎┥「ここは普通のゲームでいう、設定環境などを整える『オプション』の場です。
      また、説明書の代わりを務めさせていただくことも出来ます」

つまり、ここは荒巻のいう『自由な世界』の一歩手前。
この真っ白な世界がそこではないのだと、内藤は安堵した。


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:23:16.16 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「ていうか、面倒くさいお。
       僕は説明書とか、一切読まないタイプなんだお・・・・・・」

|::━◎┥「説明は、あくまで必要なお客様のみにとの事です」

( ^ω^)「それは良かったお!」

内藤は基本的な知識が足りずに、ゲームで行き詰るタイプである。
この世界でも同じ事を繰り返そうとしているのだが、如何せん能天気さは拭えない。


( ^ω^)「それなら『デフォルト設定』とかもあるのかお?
       ゲームにあらかじめ設定された設定でプレイ出来るとか」

|::━◎┥「ある事にはあります」

( ^ω^)b「じゃあ、そいつで頼んだお!」

親指を立てて元気一杯話してみたが、男に変化は見られない。
内藤は妙な気恥ずかしさを感じた。


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:24:32.74 ID:ei0xbLyY0
|::━◎┥「『デフォルト設定』で宜しいですか?
      基本的な説明もここで補うことが出来ますが」

( ^ω^)「あーあー、僕はさっさとアンリアルとやらをやってみたいんだお!
       余計な事はいいから、早く早く!!」

|::━◎┥「人の親切を蔑ろにする奴はゲーム早々トップレベルのプレイヤーに殺されれば良い。
      ・・・・・・それでは内藤ホライゾン様、プレイヤー名を決めたら口に出してください。
      それがゲーム開始の合図となります」

( ^ω^)「今、説明の前に早口で何か言ったかお?」

|::━◎┥「いえ、気のせいかと思われます」

疑問を解消することは出来なかったが、男の無表情にそれ以上の追求は諦めることにした。
どうやら、無表情ではあるが、感情が無い訳では無いらしい」


67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:25:27.81 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「プレイヤー名か・・・・・ゲームの主人公の名前ならやっぱり格好良いのがいいお。
       ねぇ、どんなのが格好良いと思うかお?」

|::━◎┥「アルティメットドラゴンナイツ」

( ^ω^)「うはっ!テラ厨ニ病だお!!
       自分自身でプレイするのに、そんな名前で出来る訳ないじゃないかお!! 
       まだ僕の昔のあだ名の『ブーン』の方がマシ――あっ!」
 
図らずも名前の決定をした内藤は光の粒子に包まれ、この空間から消滅した。


|::━◎┥「いってらっしゃいませ、ブーン様」

男は生まれて初めて感じる圧倒的な屈辱に耐えていた。
しかし、それもほんの一時の事で、次の瞬間には地面に拳を叩きつけることになるのだった。


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:27:32.38 ID:ei0xbLyY0
***************************
***************************

次元の歪みが発生する。
ぐにゃりと曲がった空間から、一人の男が飛び出し大地に衝突した。

(;^ω^)「むぐぐ・・・・何か乱暴な扱いだお・・・・・・」

その男は内藤彼方――この世界ではブーンというプレイヤーである。
どこか怪我をしてないかと自分の体を忙しく、まさぐっていた。


( ^ω^)「・・・・・・お?おおおおおお!!!!」

そして、ようやく周囲の変化に気付く。

目前の広がる街並み。
ファンタジーの世界を投影したようで、感動すら覚えるものだった。

どうやら、ここは街の入り口のようである。
そして、ここはファンタジーの世界を投影したのではないと看板が語る。



70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:28:38.41 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「『ようこそアンリアルの世界へ』かお」

ここは、ファンタジーの世界そのものなのだ。
有り得ないを可能にする、それがアンリアル。

( ^ω^)「すっげぇ!すっげぇお!!
       あの鎧兜の人も、黒装束の人も!全部現実!!
       僕も早くあんな風になってみたいお!!」

嬉しさのあまり、ぴょんぴょんと飛び回る内藤。
彼に目をやる者もいたが、特に気にかけることもなく去っていく。

皆が一度はやったことがあることだからだ。
初心者がこういった行動をするのが珍しい事ではない。

その時、腰に覚えのない小袋がついている事に気付いた。


72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:29:30.43 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「中身は・・・・・・お札かお?」

1000Gとかかれた紙が10枚ほど入っていた。
ゲームのセオリーに則り、これがアンリアルの世界の金だろうと内藤は納得する。

しかし、説明を受けていない内藤には何をすべきなど分かるはずもない。
キョロキョロと辺りを見回し、風景を干渉しつつ話しかけやすそうな人を探していた。

と、一人の男が話しかけてきた。


(・∀ ・) 「君キョロキョロしてる、一人?」

( ^ω^)「え、あ、うん、一人だお」

(・∀ ・) 「ワーオ、僕も一人!イッツァミラクル!!」

男は両手をバっと上に掲げながらそう言った。
しかし、視線に入った人間はほとんどが一人である。

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:30:46.42 ID:ei0xbLyY0
(・∀ ・) 「僕が誰か知りたくてしょうがないんだ?」

( ^ω^)「いや、そこまでは」

(・∀ ・) 「うんうん、そうだよね!
      知らない人とは会話をしないで、無視して逃げろってお婆ちゃんが言ってた!!
      僕は産まれてから、ずっとそうしてきた!!」

(;^ω^)「君も酷いけど、婆ちゃんも酷いお!」

荒巻と話した時以上の不安が内藤を包む。
彼ら二人を避けるようにする人間も少なくなかった。


(・∀ ・) 「僕はまたんき!君の友達!!
      だけど僕のお婆ちゃんはずっと前に死んじゃったんだ・・・・・・」

(;^ω^)「・・・・・・・そ、そうなのかお。ご愁傷様だお」

(・∀ ・) 「お婆ちゃんは料理をつくるのがとっても上手かったんだよ!
      でも僕には作ってくれなかったんだ・・・・・・」

またんきと名乗った男は次々と言葉を繰り出していく。
延々と続くお婆ちゃんトークに終わりは見えない。

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:31:50.43 ID:ei0xbLyY0
(・∀ ・) 「ねぇねぇ、君のお婆ちゃんはどんな人だった?」

( ^ω^)「ええと・・・・・・凄くやさs」

(・∀ ・) 「あっそ!僕のお婆ちゃんの下着は真っ赤だったよ!
      勝負下着は紫のスケスケだったんだよ!!
      でも、僕には絶対にスケスケは見せてくれなかったんだ・・・・・・」

( ^ω^)(こいつはやばいお・・・・・・)

内藤は荒巻に頭がヤバいと感じたのが、申し訳なるほどの狂気をまたんきから感じていた。
そのトーク内容も絶妙に聞きたくないようなものばかりである。


(・∀ ・) 「あれれー?その袋、お婆ちゃんが持ってた袋によく似てるなぁ。
       ちょっと見せてくれると嬉しいなぁ」

( ^ω^)「え、でもこれは・・・・・・」

袋を見せるのは構わない。
しかし、所持金が全て入っているので、内藤は躊躇した。


75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:33:11.16 ID:ei0xbLyY0
(・∀ ・) 「そうか、君は僕のお婆ちゃんとの思い出を蔑ろにするんだね。
      僕みたいなやつが幸せを感じる事なんて、あってはいけないんだよね・・・・・・」

(;^ω^)「あわわわわわ!貸すから、貸すから!!
       ちょっと変な事を言わないで欲しいお!」

涙を見せて悲惨な言葉を語るまたんき。
しかし、袋を渡された瞬間に極上の笑顔が蘇る。


(・∀ ・) 「あれ、お金が入ってるよ。
      お婆ちゃんはこんな物は持って無かったよ」

( ^ω^)「ああ、やっぱりそれはお金で良かったのかお・・・・・・」

(・∀ ・) 「危ないから、僕が貰っておくね」


(; ゚ω゚)「ええええええええええええええええええ!!!」

目玉が飛び出るほど、驚いた。


78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:39:55.83 ID:ei0xbLyY0
(;^ω^)「いや、僕のお金を何で盗るんだお!!」

(・∀ ・) 「何言ってるんだよ、これはお婆ちゃんがくれたお年玉だよ。
      昔はくれなかったのに、お婆ちゃんも優しくなったんだなぁ」

またんきは遠い目を浮かべる。
内藤の目は反して血走っている。


( ^ω^)「あっそうだ!その袋をあげるから、お金を返して欲しいお!
       お婆ちゃんとの思い出はなんだお!?」

(・∀ ・#) 「こんな汚い袋なんか欲しいわけないだろ! 
      第一、これは君の袋でお婆ちゃんのじゃないじゃないか!!」

またんきは袋を地面に叩き付けた。
内藤は絶句している。



79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:41:20.50 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「と、とにかく僕のお金を返して欲しいお・・・・・・」

(・∀ ・#) 「これはお婆ちゃんから貰った僕のお金だ!!」

(; ゚ω゚)「えええええええええええええええ!!」

この世界に来て何度目の大絶叫になるのだろうか。
既に目玉は飛び出して帰って来ないのではないかという勢いである。


(・∀ ・) 「お前、ひょっとして泥棒なのか!?」

(; ゚ω゚)「それは僕の台詞だおおおお!!」

(・∀ ・#) 「許せん!この小悪党めが!!
      僕の右手が真っ赤に燃える!悪を倒せと轟き叫ぶ!!」

(; ゚ω゚)「人の話を聞けぇええええええええ!!」

しかし、そこで内藤はまたしても驚愕する。

またんきの右手が言葉通り紅く光っているのだ。
更に陽炎が起こり、周囲の空気が歪んでいる。



81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:42:58.61 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「何やってんだお?」

(・∀ ・#) 「炎よ舞い踊れ、そして悪を焼き尽くせ!
      シャイニングホーリーアローファイヤー!!」

(;^ω^)(長っ!ていうかどっかで聞いたような気がするお!!)

またんきが右手を内藤に振りかざすと、紅き光が形を成す。
球体となったシャイニング(ry が内藤に衝突。

( ^ω^)「え、え、何これ?」

そして―――


(・∀ ・#) 「死ねぇ!!」

またんきが空間を握るように手を閉ざすと、砕かれた球体から火柱が立ち上がる。
同時に凄まじい衝撃を伴った大爆発が起こり、内藤は悲鳴を出す暇もなく飲み込まれる。
黒煙が周囲を包み、美しかった街並みがその場所だけ無残なものへと変わり果ててしまった。



83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:44:38.47 ID:ei0xbLyY0
そんな地獄絵図の中、満面の笑みを浮かべ、嬉しそうに手を叩く男が一人。
無邪気な、子供のようなその瞳に映るのは唯一つ。

(・∀ ・) 「勝利!! 勝利!! 大勝利!!
      君が負けたから僕の勝ち!君は僕より弱いから友達!!
       あひゃひゃひゃひゃ!今日も元気にご馳走様でした!!」

冷徹なる狂気。
もし、内藤が冒険者としての自覚があったのなら迂闊に話し込んだりはしなかっただろう。

この世界にまともな人間はいない。
異常こそが、この世界の真理なのだから。

正常を求めていた時点で、内藤が死を与えられたのは必然なのである。


(・∀ ・) 「ばいばーい!また遊ぼうねー!!」

またんきは手を振り去って行った。
その手にはしっかりと奪い取った金が握られていた。


84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:46:23.42 ID:ei0xbLyY0
そして、黒煙が風で吹き飛ばされると、そこには変わり果てた内藤の姿。
地面に伏せ、無残にも服は焼け焦げ、体のいたる部分が黒んでいた。

(  ω )「うう・・・・・・あひぃ・・・・・・」

息はある。
しかし、虫の息であることには変わりない。

着実に近づいていく死の鼓動。
薄れていく意識、ぼやけていく視界、激痛は痛みを増すのではなく感じ取れなくなっていく。
生まれて初めて直面する死の前にも関わらず、内藤は生を諦めようとはしなかった。


(  ω )(またんき殺す またんき殺す またんき殺す またんき殺す またんき殺す またんき殺す
       またんき殺す またんき殺す またんき殺す またんき殺す またんき殺す またんき殺す
       またんき殺す またんき殺す またんき殺す きんたま潰す またんき殺す またんき殺す)

   
またんきに対する殺意。
それが彼の意識を繋ぎとめる要因となっていたである。

精神力とは負の感情の方が強力なのかもしれない。
ある意味、狂気に満ちているのだから。

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:47:36.82 ID:ei0xbLyY0
自らの体温が無くなっていく。
火傷を負っているにも関わらず、冷たさを感じるのではないかと錯覚する。

しかし、そんな感覚に陥ってる中、内藤は右手に温かさを感じた。

(  ω )(・・・・・・お?)

目は開かない。
そこに誰かがいるのは分かるが、確認する事が出来ない。
もどかしい思いに戸惑っていると、その人間がポツリと呟いた。

『回復魔法~~っと』

炎の余熱のせいではない。
確かにそれらとは違った温かみ、それも優しさを伴ったもの。
まるで母の胎内にいる様な―――


ミ,,゚Д゚彡「気が付いたか?」

(;^ω^)「きゃああああああああ!!」

しかし、見ればその相手は毛むくじゃらの男であった。
あわよくば抱きつこうと思った内藤は思わず、飛びのいた。


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:51:45.21 ID:ei0xbLyY0
ミ,,゚Д゚彡「『きゃあああああ』って・・・・・・助けてやったのに」

( ^ω^)「あれ、そういえば・・・・・・」

ボロボロだったはずの体が、衣服を除いて回復している。
それどころか、十分に飛び跳ねたり出来るほどにまで元通りになっていた。


( ^ω^)「ええと・・・・・・回復魔法って、そういうことなのかお?」

ミ,,゚Д゚彡「名前通りに回復させる魔法だな。
      ていうか、君はびっくりするほど初心者丸出しだな」

( ^ω^)「なにぶん、今日初めてこの世界に来たもんで・・・・・・」

ミ,,゚Д゚彡「まぁ、予想はついていたさ。
      この場所ってことは、いきなり『初心者キラー』にあったんだな。かわいそうに」

何でも、この世界には初心者から金を奪う小悪党がいるらしい。

1000Gなんて冒険者からしたら、ちっぽけな金。
むしろ、弱者を甚振ることを主な目的にした人間だと。



88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:53:27.11 ID:ei0xbLyY0
ミ,,゚Д゚彡「ログインしたら、いきなり黒焦げの人間倒れてるからビックリしたよ。
      もし、僕が通りかからなかったら君、死んでたかもね」

( ^ω^)「ありがとうだお・・・・・・ゲームとはいえ、さすがにいきなりは死にたくないお」

ミ,,゚Д゚彡「は?何言ってるんだ?」

男は何を言ってるんだと表情でも語っている。
そして内藤もまた、同じ表情を浮かべて訴えていた。


ミ,,゚Д゚彡「この世界で死ぬと、あっちの世界の肉体に精神的なショックが与えられる。
      死に至るかは分からんが、ある程度のダメージが体に残る・・・・・・説明で聞いただろ?」

(;^ω^)「・・・・・・・・・・・・」

ミ,,゚Д゚彡「なにさ」

(;^ω^)「説明、全然聞かないで始めたんだお」

男は呆れに呆れを重ねたような、重い息を吐いた。



90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:54:52.64 ID:ei0xbLyY0
ミ;,,゚Д゚彡「なんていうか・・・・・・うん、頑張れよ。
    新しい冒険者の旅立ちに、祝福あれ―――」

背を向ける男の服を内藤が掴む。
うるうると濡れた瞳を浮かべ、良心を鷲掴みにするかのようであった。


( ^ω^)「お金が一円も無いんだお」

ミ;,,゚Д゚彡

( ^ω^)「右も左も分からなくて、僕はこの世界で生きていけないんだお。
       また、さっきみたいに『初心者キラー』に殺されてしまうかもしれないお」

ミ;,,゚Д゚彡

(*^ω^)「お願いだから、僕を貴方の仲間にして欲しいお」

男がたじろぐのを見て、内藤は内心でほくそ笑んだ。
弱者の本能が生きていくための方法を見出していたのである。


92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:56:00.00 ID:ei0xbLyY0
ミ,,゚Д゚彡「・・・・・・はぁ」

(;^ω^)「ど、どうなんだお?」

ミ,,゚Д゚彡「いや俺も仲間にしたいとこなんだがな、俺には連れがいるんだ。
      だから、縁が無かったという事で―――」

(*゚ー゚)「いいじゃん別に、旅は道連れ世は情け。
    それに人数多いほうが、楽だし面白いに決まってるじゃん!」

ふっと湧き出たかのように現れた少女がそう言った。
どうやら丁度今、この世界にやって来たらしい。


ミ;,,゚Д゚彡「しぃ!何を勝手に決めてるんだ!」

(*゚ー゚)「何を反対してるの?
     はは~ん!フサったら、私と二人っきりの旅が良いんだ!やらしー!」

ミ;,,゚Д゚彡「ちがっ!そんな訳がないだろうが!!」

男は『フサ』と呼ばれ、少女は『しぃ』と呼ばれていた。
それが彼らのプレイヤー名のようだ。



93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:58:01.58 ID:ei0xbLyY0
(*゚ー゚)「という訳で決定!私達の旅にお一人様追加~っと!」

ミ,,゚Д゚彡「・・・・・・ちっ、もう勝手にしやがれ」

渋々といった様子、それも舌打ちをしながらではあるがフサが内藤の願いを受け入れた。
しぃは事情も飲み込めていないのも関わらず、とりあえずといった様子で笑顔を振りまいていた。


(*゚ー゚)「私はしぃでそっちの髭がフサね、よろしく~!!
    それでえっと、君のプレイヤー名は?」

(;^ω^)「えっ、あっ、その・・・・・・」

(*゚ー゚)「ん?」

(;^ω^)「椎原さん・・・・・・ですかお?」

内藤の一言で、フサとしぃが凍りつく。
それもそのはず、内藤の言った言葉はこの世界で使うべき言葉ではなかったのだから。


94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:59:45.71 ID:ei0xbLyY0
(*;゚ー゚)「まさか、現実の方の名前を言われるとは思わなかったなぁ・・・・・・」

ミ,,゚Д゚彡「そういう事は迂闊に言うもんじゃないって、常識的に分かるだろうが・・・・・・」

(;^ω^)「ごごごごご、ごめんなさいだお!
       だってまさか、椎原さんにこんな所で会えるとは思わなかったから!」

椎原とは現実世界、内藤の通っている学校の言わば、アイドル的存在である。
彼女に惚れている男は数知れなく、既に他校にまでその存在が知れ渡っている。
頭脳明晰、スポーツ万能、アイドルの名に恥じぬ外見。裏では完璧超人と呼ぶ者も少なくない。

そんな格の違いすぎる女性が目の前にいるのだ。
内藤という、平凡な学生と普通に話しているのだ。
彼がその衝撃にまともな思考を失うのも、必然であると言っても過言ではないかもしれない。


(*゚ー゚)「まぁいいか、今度からは絶対にリアルの話はしちゃダメだからね?」

(;^ω^)「すまんだお・・・・・・」

ミ,,゚Д゚彡「ほれほれ、さっさと自己紹介を済ませてくれ」

フサギコは興味無さげに内藤を急かした。

96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 21:01:43.33 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「ええと、僕はないt・・・・・じゃなくて『ブーン』だお。
       アンリアルは今日始めたばっかりで、説明を聞かなかったので何にも分からないんだお。
       とりあえず、フサさんに拾ってもらった訳なんだけど・・・・・・」

ミ,,゚Д゚彡「拾ってない、あと『さん』はいらないから、フサでいい」

(*゚ー゚)「もちろん私も呼び捨てで良いんだけど・・・・・説明受けてないって本当?」

( ^ω^)「設定もデフォルトから何にも変えてないお」

流石のしぃもこの発言には戸惑いを隠せないようだった。
『言わんこっちゃ無い』というフサの表情が棘棘しく映る。


(*゚ー゚)「説明を受けなおしたほうが良いと思うんだけど・・・・・・」

ミ,,゚Д゚彡「僕も同意だね。足手纏いになるのは目に見えてるんだからな。
      せめて基本的な知識くらいは持っていてくないと困るというか、むかつく」

(;^ω^)「・・・・・・把握したお」

やはり、内藤の様な、お気楽思考の持ち主など、そうはいないらしい。
説明の受けなおしは避けられない運命だった。

98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 21:03:24.97 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「でも、あの場所に戻るのはどうしたら・・・・・・」

(*゚ー゚)「町の看板のある場所、つまり此処がオプションを行う場所なんだ。
     アンリアルをやめる時も、一回ここに来ないと止める事は出来ないから注意してね」

ミ,,゚Д゚彡「一つ言っておくが、『アンリアルは夢をプレイするゲーム』だ。
      夢の支配と共有を特殊な電波で可能にする、普通では有り得ない物。
      ネットで高く売れたりもするし、普通じゃない奴が欲しがってるから奪い取られる可能性もある。   
      説明でも言われると思うが、他人に所持していることを言ったりするなよ」

( ^ω^)「アドバイスありがとうだおー」

ミ,,゚Д゚彡「別に、アンリアルが必要以上に話題に出て欲しくないだけだ」

(*゚ー゚)「素直じゃないんだからなぁ・・・・・・」

ツンデレの香りを内藤は感じ取る。
しかし、相手が髭面の男であるため、鼻をつまんで回避した。

ミ,,゚Д゚彡「何やってんだ?」

( ^ω^)「癖だお」

ミ,,゚Д゚彡「あ?変なやつだな」



99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 21:05:36.78 ID:ei0xbLyY0
(*゚ー゚)「私達は当面の間、レベル上げに没頭してるから・・・・・・また明日にでもね!」

ミ,,゚Д゚彡「君のおつむじゃ理解しきれないだろうが、ちゃんと覚えろよ!」

( ^ω^)「余計なお世話だお・・・・・・」

『ようこそアンリアルの世界へ』と書かれた看板に触れる。
目の前にセーブ、オプションと書かれたディスプレイのようなものが浮かび上がった。


(*゚ー゚)「そうそう、ブーンはどうやってこのゲームを始めた?」

唐突にしぃが尋ねてきた。
質問の意味はよく分からなかった。

( ^ω^)「どうって・・・・・・普通にベッドに座ってアンリアルを持って・・・・・・」

(*゚ー゚)「そっか、そっか!」

ミ,,゚Д゚彡「ご愁傷様」

(;^ω^)????

しぃとフサは不気味な笑みを浮かべていた。
そんな笑顔に見送られて内藤はオプション画面へと再び旅立って行った。
 
100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 21:07:34.96 ID:ei0xbLyY0
オプションでは相も変わらずといった様子であの男が立ちすくんでいた。
しかし、内藤はアクセス時に舌打をされていた事には気づいていない。

先ほどの無礼を謝り、説明の受けなおしをとなった。
それは2、3時間にも及ぶもので苦痛な事この上無かった。
もちろん苦しみに値するだけの情報も手に入ったのではあるが。

・アンリアルとは自らが体感するオンラインゲームである。
・基本的には冒険、当然それ以外(恋愛など)に没頭するのもプレイヤーの自由である。
・睡眠中にプレイすることになる。尿意などの警報は行う。
・アンリアルでの肉体の死は、現実世界での精神の死亡と等価される。
・精神の疲労が重なるので、プレイを控えるという事を忘れてはならない。

内藤が特に深く覚えこんだのはこの5つであった。
というより一つの事を覚えるたび、一つのことを忘れていってしまうので、これらを集中して覚えた。
膨大な情報量に圧倒されたので絶対に必要な事だけを厳選して選んだのであった。


こうして、内藤の初めてアンリアルのプレイは終わる。
思い返せば酷いことばかりだったようだが、仲間が出来たというのは何よりも大きな幸運だったのかもしれない。


101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 21:08:24.01 ID:ei0xbLyY0
*******************************
*******************************

アンリアルの終了は、起床となるようだった。
目を覚ませば午前7時、学校に行く準備をしなけらばならない。
だけど、僕はその前にしぃとフサの怪しい笑いの理由を知るのだった。

(; ゚ω゚)「うおおおおおおおおお!!凄まじい寝違えっぷりだおおおおおおおおお!!」

座った状態から倒れこんだように眠ってしまったので、変な体制で眠ってしまったようだ。
痛い、これでは学校に行くのも一苦労になるというレベルだ。

だから、あの時二人は笑っていたのか。
綺麗な就寝の姿勢で始めないと、こうなってしまうとは・・・・・・恐るべしアンリアル。
というか、教えてくれれば覚悟出来たのに。あの二人は意地悪だ。


(; ゚ω゚)「だ、だけどまぁ、しぃとフサに会えてよかったお」

あの二人といれば、冒険に困ることもないだろう。
なによりしぃは物凄く可愛い。それはもう尋常じゃないくらいに。
フサがいなければ二人っきりなのに・・・・・・というのは過ぎた願望か。


102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 21:09:07.57 ID:ei0xbLyY0
それにしても『アンリアル』
自由を得る事の出来る、こことは違ったもう一つの世界。

・・・・・・最高だった。

苦労は付き纏うものの、この世界では味わえない空気がある。
僕が望んでいた不可能を可能にする、今でもただの夢だったのではないかと疑ってしまう。

しかし、あれは繰り返される夢なのだ。
毎日の様に訪れる永遠の幻。
仮想であるに関わらず、現実さえも凌駕する。

僕の右手にある小さな黒い箱。
僕は永久に離すことの無いであろう僕の宝物。

今日から、僕の現実消去が始まる。



 
 
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