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ジョルジュ

Author:ジョルジュ
心母少女最終話更新
完結おめでとうございます。
08/03

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( ^ω^)現実消去のようです 第一話 

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:43:18.22 ID:ei0xbLyY0
世の中に勝ち組と負け組がいるとはよく言ったものだ。
確かに人間は小さな頃からランク別に区分されてしまっている。
ドラマや漫画なんかじゃ、その後に奇麗事が続くものだが現実はそう甘くない。

また、勝ち組から負け組への転落は容易に起こる事。
そして負け組に堕ちた人間がそこから這い上がることなんて出来はしない。

・・・・・・彼女を見ていると、僕は本当にそう思う。


ξ゚⊿゚)ξ「・・・・・・」

「津川さんの教科書とか机って、お洒落だねー!」

「こんなにたくさんの絵が描いてあって、綺麗だね!」

津川の教科書と机には罵倒の文字、カラフルなペンで描かれた酷い絵が描かれている。
嫌味を言っている奴らが書いたのは分かりきった事だが、それ故に反論するのも無駄なことだった。

ケタケタと笑う声、虫唾が走る。




15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:44:50.56 ID:ei0xbLyY0
ξ゚⊿゚)ξ「・・・・・・っ」

「あっれー、どこ行くのぉ?」

「トイレ?今日も私達がホースの水で洗い流してあげよっか?」

逃げるように席を立った津川に浴びせられる苛虐の言葉。
しかし、周りの奴らが着いていかなかった分だけ、マシというもの。

簡潔に言うと彼女――津川玲子は才色兼備が故に苛められている。
気丈な性格、中学時代は羨望の的だったが今では嫉妬を加速させるだけに過ぎない。
自分の醜さを他人を妬む事で隠し鬱憤を晴らす。その行為こそ、自らの価値を下げる何よりの行動だというのに。


( ´ω`)「・・・・・・はぁ」

思わず、溜息をついてしまった。
胸をチクチクと刺されるような痛みが僕を襲うのも毎度の事である。


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:46:09.59 ID:ei0xbLyY0
苛めを、見てみぬふりをする生徒達。
先生すら、自分に火の粉が降りかかるのを恐れて口を出そうとはしない。
津川の事を助けたいと思ってはみるが、それはいつだって夢幻にしかならなかった。

ヒーローになりたいと思ったって、現実はそう甘くない。
苛めの標的に僕が加わるという結果になるのは目に見えていた。
だから、僕は心の中で苛めっ子に対して『死んでしまえ』と少々物騒な念を送ることしかできないのだ。


( ´ω`)「勝ち組と負け組かお・・・・・」

津川が負け組なら、苛めっ子は勝ち組なのだろうか。
何よりも認めたくない事だが、ああいう奴等に限って権力の前では従順な犬に変わる。
それはつまり、社会の中では勝ち組に変わるということ。

学校は社会の縮図なのだ。
他人を陥れる様な人間だろうと、頂点に立てるようなら勝ち組。

また、今の時点で落ちこぼれるようなら、社会の波にだって乗れないに決まっている。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:47:29.12 ID:ei0xbLyY0
勝ち組と負け組に分けられてしまった世界。
その中で僕はひっそりと、目立たない様に生きている。

勝ち組に這い上がる事なんて出来ないと分かっている。
だから負け組になる事だけを避け、それだけを意識して日々を過ごす。

僕は傍観者。
勝ち組と負け組の狭間で、両者を達観したつもりになっている。
本当は敗北者としてのプライドも失くし、抗うことを諦めただけなのに。

そして津川は最後まで戦うつもりなのだろう。
自分を捨てず、たった一人でも苛めに立ち向かうつもりなのだろう。


( ^ω^)「格好良いお・・・・・・」

『傍観者』、そんな名前は適していないのだ。
津川と僕を比べるならば、僕はひょっとしたら負け組以上に―――


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:49:03.37 ID:ei0xbLyY0
************************
************************

『勇者内藤の攻撃 
 レッドドラゴンに231のダメージ
 レッドドラゴンを倒した』


( ^ω^)「おっお、ようやく倒したお!」

ゲームの中の僕は剣を掲げ、敵を倒した事を仲間と共に喜び合う。
整った顔立ち、気の合う仲間や恋人、そして運命を切り開いていく力。

僕よりも有能な人間がそこにはいる。
僕と同じ名前なのに、僕とは比べ物にならないくらいに輝いた勇者がそこにいる。

( ^ω^)「・・・・・・・・・」

セーブもせずに電源を切った。
テレビには『入力1』の文字が浮かび上がるだけで、他には何も映らない。



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:50:02.30 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「・・・・・・はぁ」

五周もやっていれば、飽きるのは当然の事だった。
ただ、ここまで卑屈な考えを露骨に浮かべるのも初めてのことかもしれない。
ゲームのキャラに嫉妬を覚えるなんて、自分で自分が可哀想なくらい情けない事だ。

( ^ω^)「聖なる光よ、敵を打ち砕け、ホーリーアロー!」

当然、僕の右手には何の変化も起こらない。
僕の間の抜けたような声が部屋一杯に響くだけである。

・・・・・・何というか、凄く恥ずかしい。


( ^ω^)「勇者か・・・・・・」

『厨二病』だろうと何だろうと、諦めなれない自分がいる。
勇者として覚醒する日がくるんじゃないかと、夢を見続ける自分がここにいる。



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:51:12.13 ID:ei0xbLyY0
J( 'ー`)し「それじゃあ、勇者さんに冒険をお願いしましょうかねぇ」

(;^ω^)「うわああああ!!」

一体、いつの間に僕の部屋に入ってきた?
というより、もしかしてさっきの恥ずかしい独り言を聞かれていた?


J( 'ー`)し「純白に輝く聖の光、打ち滅ぼす漆黒に染まりし邪悪!セントホーリーアロー!
      ・・・・・・なんて聞いてないから大丈夫よ」

(;^ω^)「滅茶苦茶聞いてるじゃないかおおおおお!!」

というか、むしろ悪化してる。
流石の僕でもそこまでは・・・・・・と、あんまり変わらないか。


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:52:20.69 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「で、何の用だお、カーチャン」

J( 'ー`)し「ちょっとキャロットハントのクエストに行って来て貰おうと思ってねぇ」

( ^ω^)「つまり、近所のスーパーで人参を買って来いって言うのかお?」

J( 'ー`)し「迷わず行けよ、行けば分かるさ」

カーチャン、それは何か微妙に僕が好きなジャンルとは外れてるよ。
偉大な御方の言葉だから突っ込みはしないけど。


( ^ω^)「んじゃまぁ、ちょっくら行ってくるお」

J( 'ー`)し「ありがとうねぇ、今日は大地の恵みを聖水で煮込んだ・・・・・・」

( ^ω^)「はいはい、シチュー乙だお、行ってきます」

所詮、僕の冒険なんてこんなもんだ。
所持金1000G、勇者内藤、旅立ちます。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:53:31.87 ID:ei0xbLyY0
夕方5時だというのに、外はまだ青空が澄み渡っていた。
もうしばらくすれば茜色に染まるのだろうが、日の沈む遅さに夏の訪れを感じさせられる。

制服のズボンにシャツ、その上にカーディガンを羽織っただけなのだが、暑いくらいなのだ。
こんな季節にはアイスが美味しいのだろうなと、ぼんやりと考えを浮かべていた。


( ^ω^)「にしても、高校生にもなってお使いかお・・・・・・」

世間的に見たら親孝行な善良な息子なのだろうか。
しかし、勇者やら選ばれし子供とかとは程遠い気がする。

ぷおーぷおーと響く豆腐屋の笛の音が耳に入る。
本当に僕が平和な世界の平凡な人間に過ぎないと認識させられた。

・・・・・・本当につまらない。


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:54:26.27 ID:ei0xbLyY0





―――だったら、此処に来ると良いよ。





( ^ω^)「・・・・・・え?」







29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:55:15.92 ID:ei0xbLyY0
―――ガガガガガガ。

ギギ、ガガガ、ギギギgガアアア


電波ガ僕を吸い寄セる。
ココだココだと僕を呼んでいる。

この一瞬の間ダケ、彼らが僕を支配スる。


君の様ナ人間ニだケ、この声が聞こえるノだと言っている。
選ばれた僕ハ歓喜に震エ、呼ばれルまマに足を運ぶ。

ドコ、何処、ドコ。
・・・・・・見つケた、そこデ僕を呼ぶ声ガする。

走れ奔れ走るハシルはしる走る走るはしrrrrrrrr



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:56:00.43 ID:ei0xbLyY0





(  ω )「コッチ、コッチ?」




―――そうそう、そっちそっち。





32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:57:11.09 ID:ei0xbLyY0
(;^ω^)「・・・・・・あれ?」

ふと気づくと、僕は見知らぬ道に立っていた。
ほんの瞬きの間に世界がガラリと変わったしまったような感覚。

小さな路地にでも呆けている内に入ってしまったのだろうか。光も差し込ま無い影で満ちた場所だ。
こんな場所が、この町にあったなんて知らなかった。

さて、そういえば、さっき誰かの声が聞こえたような・・・・・・。


/ ,' 3「ふぉふぉ、小僧、何を怯えている?」

(;^ω^)「んあぁ!」

思わず、情けない声を出してしまった。
気配が無いというか、いつの間にかに現れていたというか。

外見的に見て、60は越えているのではないかという小柄な老人がそこに居た。
しかしその外見とは似つかわしく無い程の威圧感を放っていた。

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:58:27.67 ID:ei0xbLyY0
(;^ω^)「べ、別に僕は怯えてなんか・・・・・・」

/ ,' 3「ワシはまだこの町に来て3日じゃ!
    見ず知らずの人間ばかりのワシの方が怯える権利はあるに決まっとるわい!」

あ、やばい、このお爺さんちょっぴり頭がいかれてる。
出来ることなら逃げ出したい、今すぐにでも。


/ ,' 3「逃げたい、と考えておるな?」

(;^ω^)「な、何故それを・・・・・・!?」

/ ,' 3「甘えるな!オヤジ狩りを考えると、ワシに逃げたいと願う権利があるに決まっておる!」

ほら、やっぱりこの人やばいって。
ちょっとでも只者じゃないとか思った僕の心を返してくれ。

逃げようとはしたものの、マシンガントークはすでに僕の足を撃ちぬいていた。


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:59:57.21 ID:ei0xbLyY0
/ ,' 3「この世は何でも権利が必要なんじゃ。
    生きる権利、勉強を受ける権利、働く権利、社会生活を過ごす権利」

( ^ω^)「あの、えーと、僕は買い物があるので失礼して・・・・・・」

/ ,' 3「そして、今もっとも足りない権利は『自分が自分でいられる権利』
    周囲の環境に圧迫され、自分をひた隠しにして逃げるように生きる者が欲しがる権利」

少しだけ引っかかった。
それは僕が傍観者から抜け出したいと願う事と似ている様な気がしたから。
でも、それは望んでも決して手に入らないと僕は知っている。


( ^ω^)「・・・・・・自分が自分でいられる事なんて出来はしないお。
       この世界でまともに生きていくなら、社会に流されるように生きないと駄目なんだお。
       でしゃばった芽は早急に潰されるのが、この世の理だお」

/ ,' 3「若造が、知ったような口を叩くわい!!」

言葉こそ否定的な意味を込めてはいるが、老人は嬉しそうにそう言った。


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:01:02.48 ID:ei0xbLyY0
/ ,' 3「ところで小僧、名をなんと申す?」

( ^ω^)「内藤彼方だお」

/ ,' 3「いい名前だ、どこまでも飛んで行くようじゃ。
    そう言えば風船おじさんは何処に消えたことやら・・・・・」

ふざけた事を言っている。
僕の名前の由来を当てられているのが無性に悔しい。


/ ,' 3「ワシの名前は荒巻重蔵。
    礼儀として名を明かすがまぁ、覚えておく必要は無い。
    どうせすぐに意味を無くしてしまう名じゃからの」

( ^ω^)「意味がわからんお」

/ ,' 3「よいよい、内藤君が気にする事は何にもないのじゃからな!
    さて、本題に戻るとするか・・・・・・」

権利についてだろうか。
しかし、だとするならば荒巻の目的が未だ掴めない。


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:02:31.49 ID:ei0xbLyY0
/ ,' 3「内藤君の言う通りなんじゃ、この世は流される様にしなければ生きていけん。
    勝ち組になるにしても波に乗ること、つまりは流されると同義なのじゃ。
    老いを止められんのと同じように、社会の移ろいにもまた反逆することなど出来はしない」

( ^ω^)「そうだお、だから『自分が自分でいられる』なんて出来はしないんだお。
       出来だとしても諦めを繰り返した先にある妥協の結果でしかないんだお」

/ ,' 3「その通り、その通り!
    子供らしい考え、まったくもってワシの意見と同じ!
    ワシもまだまだ子供心を忘れんままでいられるということじゃのう!」

若さを喜んでいるのか、僕が子供だと馬鹿にしているのか区別がつかない。
ただ、その嬉しそうな笑顔がどうにも眩しい。


/ ,' 3「だとするなら、諦めるか?
    自分を隠していき、死ぬまで怯えるように生きていくか?」

( ^ω^)「この世界で生きていくなら、しょうがな―――」

/ ,' 3「つまらないだろうがっ!!そんな人生っ!!」

体を震わせ、あらん限りの声で荒巻が叫ぶ。
大気の振動が空気の固まりとなり、僕にぶつかってくるかのようだった。


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:04:18.47 ID:ei0xbLyY0
/ ,' 3「抗い、未来を切り開けよ若者!!
    まだまだ自分の限界を決め付けるには早すぎる年頃じゃ!!
    人間の欲望は留まる事を知らず、そしてまた隠し切れないものとなり暴れるもんなんじゃ!!」

(;^ω^)「僕にだって理性ってものが・・・・・・」

/ ,' 3「もし、理性で守りきれる程の欲望だったらこの場所には来ない!!
    ワシに出会うという事は、自分では抱えきれない程の欲望と邪心を持っている証拠なんじゃ!!」

分からない、分カラナイ。僕にそんな事言われても困る。
僕は目立たず、勝ち組と負け組の狭間でひっそりと生きていくはずなのに。


/ ,' 3「小僧の名『彼方』に恥じぬ生き方をしてみんか!
    何処までも行きつける可能性を秘めた自分自身と向き合え!!
    人間信じれば空だって飛べるという、先人の偉大なる言葉を知らんのか!」


(#^ω^)「僕だって、好きで『傍観者』として生きてるんじゃないんだお!!」


今まで生きてきた中で、一番の大声で僕も返す。
ここまで熱情的になるのは初めての事だが、それが老人相手だというのだから自分も驚きだ。
しかし、一度叫んでしまえば止まらない。


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:05:46.39 ID:ei0xbLyY0
(#^ω^)「翼があったとしたら、その翼で空を飛んでみたいと思うお!
      歩き続けられる足があるのなら、何処まででも行ってみせるお!
      力があったとするなら、困っている人を助けたり、苛めをなくしてみせるお!!」

でも、と続ける。

(#^ω^)「僕には何の力も無いし、『この世界』という名の鎖は思っている以上に重い!
      例え何らかの力を手に入れたとしても、金や社会のルールに則らなければ何の意味もなさない!
      何かを手に入れた後の事も考えなくてはならないし、一時の感情に身を任すなんて愚者のやることだお!!」

普段から溜め込んでいるものを発散していたのかもしれない。
心の底から想いが湧き出てくるかのようだった。


/ ,' 3「そう・・・・・内藤君の言う通り問題は山積みじゃ。
   求める心と見合うだけの力と世界が必要になってくる」

( ^ω^)「分かっているなら・・・・・・」

/ ,' 3「それならば、じゃ」

それなら?



40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:06:58.09 ID:ei0xbLyY0
/ ,' 3「ならば、この世界で無かったら・・・・・・」

・・・・・・この世界で無い?

/ ,' 3「左様、あらゆる柵から開放された自由の世界。
    自らを曝け出そうが、何をしようが何の問題も起きない。
    自分のための、自分が生きる為の世界」

( ^ω^)「そんな世界があるなら僕は悩んでないお。
       行けるものなら僕だって行ってみたいに決まって・・・・・・」

/ ,' 3「そうか!行ってみたいか!」

荒巻は話を遮るようにパンと両手を叩く。
まるで、『その言葉が聞きたかった』と言わんばかりに爛々とした瞳を浮かべていた。


/ ,' 3「与えよう、その権利。
    そしてようこそ、アンリアルの世界へ。
    君には自由が約束され、生きる権利を永久に剥奪する事は出来なくなった」

( ^ω^)「・・・・・・何を言ってるんだお?」


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:08:38.56 ID:ei0xbLyY0
/ ,' 3「おめでとう、おめでとう。
    君の選択に私は多大なる感謝を覚える。
    また、これからの人生に幸福がある事を祈ろう」

( ^ω^)「いい加減、僕を無視するのは止めてくれお」

/ ,' 3「君には力が与えられる。
    一つは生きていく力。もう一つは全てを凌駕する戦う力。
    この出会いが運命のものだと信じて、君に全てを託す事にしよう」

・・・・・・ダメだこりゃ、完璧に僕の言葉が耳に入ってない。
諦めを覚えた僕は荒巻に背を向け、道も分からないまま歩を進めようとする。


/ ,' 3「しかし、忘れてはならない。
    何が現実で、何がアンリアルであるのかを」

それでも、荒巻の言葉は止まない。
ザクザクと僕の心に刻み込んでいくように。




43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:10:31.22 ID:ei0xbLyY0
『力を望むのなら、言葉を
 生を望むのなら、言葉を
 我を望むのなら、言葉を』


ガガガガギガガガガガガギガギガガガ
        ガガガガギギガガガガガギガギガガガガ



『世界を繋ぐ言葉、ゲームを起動する言葉。
 合言葉は―――』


ギギギッガガガガガガガガガガギガガガギギ
     ガガガガッギギギギギギギギギgギガガガガgggg

 
 
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:11:56.58 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「―――あれ?」

次に目を開けた瞬間、僕は老人と出会う前の路地にいた。
豆腐屋がいなくなっていたので、時間が過ぎていた事だけは分かる。日も落ちかけている。
ただ、抜け落ちた記憶の隙間が、僕に納得のいかない心の霧を浮かべさせる。

あれは夢だった?
荒巻という老人なんていなかった?


( ^ω^)「立ったまま寝てしまったってやつかお・・・・・・」

しかも、こんな夕暮れ時、買い物の途中にか。
僕の新たな特技として使えそうな気がしてくる。


と、間抜けな考えを浮かべているとポケットに妙な重みと膨らみを感じた。

手に取ってみれば何の変哲も無い黒い箱。
見た目にそぐわぬ重量感も、片手で軽々と持てる程度のものだ。

ただ、『unreai』と赤い文字が彫られていること以外は、どこにでもありそうな―――


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:13:21.93 ID:ei0xbLyY0
************************
************************

深夜、ふと尿意に目を覚ます。
トイレへ行って帰って、そこで例の物が目に入った。

『unreal』と赤い文字で彫られた黒い箱。
記憶は曖昧であるが、荒巻に貰ったものだろう。
電灯の光を浴びて、より一層妖しい輝きを放っている。

( ^ω^)「世界を繋ぐ橋、ゲームを起動する・・・・・・」

ベッドに黒い箱を投げ、僕もまたベッドに飛び込む。
少しだけ、この箱を乱暴に扱ったことを懸念したが問題ないようだった。


( ^ω^)「・・・・・・馬鹿馬鹿しいお」

むしろ、心配するだけ無駄というもの。

こんな小さな玩具みたいなものでゲームをするなんて、それこそゲームの世界の話だ。
テレビに繋ぐコードも無ければ、これだけでプレイするためのディスプレイも無いじゃないか。

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:14:35.35 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「けど・・・・・・」

気になる。

荒巻と話していた時間、そして、その前後の空白。
あの時間は間違いなく『現実』とはかけ離れた時間だった。

僕はあの時は確かに異質を感じていた。
平凡な、何度も同じように繰り返される毎日に日々が入ったような感覚。
自分の人生に何らかの変化が与えられる予感。

( ^ω^)「荒巻の言った言葉が本当だったら・・・・・・」

僕は変われるかもしれない。
傍観者から、勝ち組でもなく、また違った存在になれるかもしれない。
『生きている』と心の底から感じられるかもしれない。


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:15:53.95 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・」

ゆっくりとアンリアルへと手を伸ばす。
黒の輝きが僕の手中に納まり、再び夕刻に感じた重量感を味わう。

そして、それがきっかけの様に思い出す。
荒巻の放った最後の言葉を。


( ^ω^)「力を望むのなら、言葉を
       生を望むのなら、言葉を
       我を望むのなら、言葉を」

僕は力を望もう――立ちはだかる障害を打ち滅ぼし
僕は生を望もう――生きながらに死んでいた日々から蘇り
僕は我を望もう――自分という存在を貫き通す。



55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:17:13.98 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「世界を繋ぐ言葉、ゲームを起動する言葉」

リアルとアンリアルを交錯させる。
0と1で世界が構築され、五感が支配されていく。

今なら明確に分かる。
アンリアルは存在するのだ。
疑いようもない、だって僕は実際に体験しているのだから。


( ^ω^)「合言葉は―――」

さぁ、新たなる世界へ踏み出そう。
そして僕を連れ出してくれ。



57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:18:05.19 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「――合言葉は『現実消去』」


この言葉が鍵となり、扉が開かれる。
ここでない、新たな世界に橋が掛けられる。

視界が真っ白に染まっていく。

しかし、何も心配することは無い。


行き先は決まっていた。

約束された自由の世界『アンリアル』





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