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ジョルジュ

Author:ジョルジュ
心母少女最終話更新
完結おめでとうございます。
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(,,゚Д゚)TALES OF THE ENDのようです 第6話 

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:22:56.82 ID:qHDfgmym0
第6話『惜別』


川 ゚ -゚)「――さて、と。
     どう料理したものか……」
クーが槍を中段に構え、グラシャラボラスを見据える。

口では冷静な風に言っているものの、
内心クーは魔獣の圧倒的な圧力の前に緊張していた。

クーがこの魔獣が戦っているところを見たのは、
クーがギコを助ける直前からのほんの僅かな間だけ。

しかしそれでも、グラシャラボラスの強さを知るには充分であった。

その巨体に違わぬ力と、その巨体に似合わぬ速さ。

正攻法では、勝機が薄い。


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:24:37.44 ID:qHDfgmym0
(,・W::;;;;)「ロオオオオオオオオ!!」
クーがそんな事を考えている間に、
グラシャラボラスがクー目掛けて突進してきた。

川 ゚ -゚)「…………!」
クーが身構える。
正面から、グラシャラボラスを迎え撃つ様に。

(;,,゚Д゚)「あ、危な――!」
いくらなんでもそれは無謀だ。

ギコがそう思い、叫ぼうとした瞬間――

(;,,゚Д゚)「!?」
(,・W::;;;;)「!?」
グラシャラボラスの眼前から、クーの姿が消えていた。

(,・W::;;;;)「――――」
クーという目標を失い、
何も無い空間をグラシャラボラスの巨体が通り過ぎる。

クーはどこに!?
その場の全員が彼女の姿を目に捉えようとする。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:27:48.90 ID:g4BfEzG20
川 ゚ -゚)「――――」
クーが、いた。

グラシャラボラスの突撃を喰らう直前、
クーは鳥の様に軽やかに跳躍し、空中へ逃れていたのだ。

そしてそのまま宙で一回転すると、
羽の様にふわりと地面に着地する。

(,・W::;;;;)「ウバシャア!!」
先程の一撃を避けられた腹いせなのか、
グラシャラボラスが荒々しくクーにその腕を叩きつける。

川 ゚ -゚)「フッ!!」
だが、既にクーはその場にいなかった。

着地と同時に斜め前に疾駆。
グラシャラボラスの腕を易々と掻い潜り、その懐へと肉薄する。

(;,,゚Д゚)「――――」
ギコは、クーの体術にひたすら驚嘆していた。

何という、速さだ。
あの長い槍を持っていながら、あの身のこなし。
並の使い手ではない……!


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:29:38.60 ID:g4BfEzG20
川 ゚ -゚)「瞬迅槍!!」
そしてその間にも、クーは既に自分の間合いにまで入り込んでいた。

自分の体重と速度を槍に乗せ、
グラシャラボラスの胸部目掛けて槍を突き出す。

鎧すら穿つその一撃。
だが――

川;゚ -゚)「……ッ!!」
槍は、グラシャラボラスの肉に数寸突き刺さった所で、その動きを止めた。

(,・W::;;;;)「グリュアアア!!」
川;゚ -゚)「!!」
動きの止まったクーに、グラシャラボラスの爪が襲い掛かる。

クーはすぐさま槍を引き抜くと、後ろに跳躍。
寸前で、グラシャラボラスの爪を回避した。

(;,,゚Д゚)「駄目だ! そいつの皮膚は、普通の攻撃じゃ――」
川;゚ -゚)「……そのようだな」
クーが冷や汗を拭いながら、ギコに答える。

川 ゚ -゚)「――可能なら一旦退却して、奴を殺せる方法を充分に検討してから再戦を挑む、
     というのが最良の方法なのだろうが――向こうは、こっちを見逃すつもりは無いだろうな。
     ――せめて、何か弱点でも分かればいいのだが……」
クーが忌々し気に呟く。


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:31:50.11 ID:g4BfEzG20
(;,,゚Д゚)「……心臓を」
川 ゚ -゚)「?」
(;,,゚Д゚)「心臓を潰せば、あの化物を倒せるらしいです」
ギコが小さな声で言った。

川 ゚ -゚)「心臓、か――
     だが……」
クーの言わんとしていることはギコにも分かった。

心臓が弱点と分かっていても、それを覆う肉はギコの剣でもクーの槍でも貫けない。

唯一大きな効果のあるルシオラの魔法も、
呪文詠唱から発動までのタイムラグの間に致命傷を回避されてしまう。

倒す方法は明白だが、それを実行するまでの過程が思い浮かばない。
完全に、手詰まりだった。


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:34:10.64 ID:g4BfEzG20
li イ ゚ -゚ノl|「……ごめんなさい。
      何も、お役に立てなくて……」
ギコとクーの後方で、ルシオラが申し訳なさそうに口を開いた。

(;,,゚Д゚)「ルシオラは悪くないよ。
     歯が立たないのは、こっちだって同じなんだ」
ギコが剣の柄を握り直しながら言った。

糞。
だけど、本当にどうする。

このままではいずれ消耗して、追い詰められてしまう。

一か八か、逃げるか。

いいや、駄目だ。
そんなことをすれば、まだ生き残っている町の人が犠牲になってしまう。

この化物は、ここで仕留めなければならない。

だが――
その方法が、何も思いつかない。


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:35:18.09 ID:g4BfEzG20
畜生。
心臓に、心臓に届きさえすれば何とかなるかもしれないのに。

しかし、自分の剣では、あの固い肉を突き破れない。
クーさんの槍ですら、少し突き刺さる程度で終わりだった。

あと少し。
あと少しだけ深く刺されば、心臓に届くかもしれないのに――

(,,゚Д゚)「――――」
――いや、あった。
あと少しだけ、駄目押しをする方法が。

たった一つだけあった……!


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:36:55.39 ID:g4BfEzG20
(,,゚Д゚)「……クーさん」
静かに、しかし力のこもった声で、ギコはクーに言った。

(,,゚Д゚)「……心臓の部分を狙って、槍を突き刺すことが出来ますか?」
川 ゚ -゚)「あ、ああ、出来るが――
     だが、私の槍ではあの魔獣の肉は……」
クーが口ごもる。

(,,゚Д゚)「……それで、充分です。
    ――ルシオラ」
ギコが今度は、ルシオラの方へ向く。

(,,゚Д゚)「一瞬でいい。
    クーさんの槍が奴に刺さったら、魔法で動きを止めてくれ」
li イ ゚ -゚ノl|「? ギコ、一体何を――」
言いかけたところで、ルシオラはハッと表情を変えた。

li イ ゚ -゚ノl|「ギコ、まさか――」
川 ゚ -゚)「…………!」
ルシオラとクーがほぼ同時にギコの意図を察した。


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:39:10.25 ID:g4BfEzG20
川 ゚ -゚)「……可能なのか?」
クーが不安気にギコに訊ねた。

(,,゚Д゚)「……多分」
返事の言葉こそ曖昧だったが、その口調には確かな自信が宿っていた。

li イ ゚ -゚ノl|「ギコ……」
(,,゚Д゚)「大丈夫。 これでも俺、ルシオラが思ってるよりずっと、強くなってるから。
    だから――今だけは、俺を信じて、任せてくれ」
言って、ギコがルシオラに微笑みを向ける。

li イ ゚ -゚ノl|「……分かりました」
ルシオラも、覚悟を決めた様に頷いた。

川 ゚ -゚)「どうやら、これ以上打ち合わせをしている時間は無いようだ。
     ――来るぞ!」
クーの言葉と同時に、グラシャラボラスがギコ達目掛けて突進してきた。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:40:40.56 ID:g4BfEzG20
(,・W::;;;;)「グゥルウゥゥゥゥゥゥ!!」
(,,゚Д゚)「散れ!!」
ギコの言葉と同時に、三人が一斉にその場を離脱する。

獲物がそれぞれ三方向に分かれ、
一瞬グラシャラボラスがどれから仕留めるか決めかねて動きを止める。

川 ゚ -゚)「ここだ!!」
そして、その一瞬が命取りだった。

風の如き速さで、グラシャラボラスの死角からクーが躍り掛かる。

川 ゚ -゚)「瞬迅槍!!」
疾風一閃。
クーの槍が、再びグラシャラボラスの胸部に突き刺さった。

だが、それだけでは足りない。
槍は肉の部分で阻まれ、まだ心臓にまでは達していない。

そう、まだ今は。


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:41:36.32 ID:g4BfEzG20
(,・W::;;;;)「グオオオオ!!」
グラシャラボラスが咆哮を上げながら腕を振るう。

川 ゚ -゚)「!!」
クーは槍から手を放すと、右斜め後方に飛んでその腕をかわした。

自ら武器を手放す。
普通戦場では決して行ってはならない失態である。

だが、今はこれで良かった。
これこそが、ギコ達の作戦の一部だったのだ。

(,・W::;;;;)「リュウウウウウウウアッ!!」
胸に刺さった槍などお構いなしに、
グラシャラボラスがその翼をはためかせ、上空へと飛び上がろうとした。

その刹那――

li イ ゚ -゚ノl|「弾けよ光の瞬き――フォトン!!」
ルシオラから放たれた閃光が、グラシャラボラスの顔面を焼いた。

(,・W::;;;;)「グガァアアァァァァァ!!」
予期せぬ一撃に、グラシャラボラスが拡げかけた翼を畳み、苦しげな叫びを上げる。

そこに生まれる、唯一にして絶対の隙。
そしてそれこそが、ギコ達が狙っていた勝機だった。


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:43:43.45 ID:g4BfEzG20
(#,,゚Д゚)「おおおおおおおおおおお!!」
ギコが駆ける。

勝負は一度きり。
これを外せば、恐らく二度と同じ手は通用しない。

狙うは、グラシャラボラスの胸元に突き刺さった槍の柄尻。
そこを、この剣で突く。

自分の剣だけは、クーさんの槍だけでは、
あの固い筋肉を貫くことは出来ない。

だが、二つが合わされば。

既に突き刺さった槍を、更に押し込む事が出来れば。

(#,,゚Д゚)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
問題は、槍の柄尻という、
極めて小さい的を狙い通りに突く事が出来るかどうかということ。

普通に考えれば、不可能に近い。


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:46:22.30 ID:g4BfEzG20



( `ー´)「いいか、ギコ。
      剣術で重要なものは、力と速さ以外にもう一つある」



だけど、出来る。

自分なら、出来る。



( `ー´)「それはな、正確さだ。
      いかに力強い剣でも、いかに速い剣でも、当たらなけりゃ意味がねえ」



自分は、やってきたのだ。
あの最強の剣士、ネーノ=アルベインの下で。

ずっと、やってきたのだ。


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:47:53.21 ID:g4BfEzG20



( `ー´)「逆に言えば、正確な剣ほど怖いものはねえってことだ。
      どんな状況からでも、きっちり急所を狙ってくる。
      これ程、相手にとって脅威な事はねえぜ」



自分は、ネーノ=アルベインのただ一人の弟子。

その自分が――

師匠が教えてくれたこの剣が、
これしきの事が、出来ない筈がない。

(#,,゚Д゚)「瞬――」
狙いをすまし、振りかぶる。

周囲の音が消え、ただ一点のみを貫く事のみに全神経が集中する。

出来る。
必ず、出来る……!


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:49:49.42 ID:g4BfEzG20
(#,,゚Д゚)「――迅剣!!!」
ギコの剣先が、一寸の狂いも無くクーの槍の柄尻を捉えた。
ギコの突きの威力に押され、槍がグラシャラボラスに更に深く突き刺さる。

(#,,゚Д゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
更にねじ込む。
肉を裂き、その心臓を突き破る為に。

奥まで。
もっと、奥まで!

(,・W::;;;;)「ギャアアアアアアアアアアアアア!!!」
グラシャラボラスがけたたましい咆哮を上げて地面をのたうちまわる。
その巨体を何度も地面に打ちつけ、周囲にもうもうと土煙が舞った。

(,・W::;;;;)「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
と、グラシャラボラスの肉体に変化が起こり始めた。

肉体が、まるで石のように硬質化を始めたのだ。

(,・W::;;;;)「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
グラシャラボラスが叫んでいる間にも、変化は止まらなかった。

体の端から起こった硬質化はやがて全体に広がり、
ついにはグラシャラボラスは物言わぬ化石へと成り果てる。

そして、一迅の風が吹くと同時に全身に罅が入り、
音を立てながら粉々に砕け散っていった。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:52:12.05 ID:g4BfEzG20
(;,,゚Д゚)「やった――のか?」
ギコが、注意深くグラシャラボラスの残骸を眺めながら言った。

川;゚ -゚)「……そのようだな」
クーが残骸の中から自分の槍を恐る恐る拾い上げながら返す。

グラシャラボラスの残骸は微塵も動く様子を見せず、
風と共に風化していく。

どうやら、もう復活するということはなさそうだった。

(;,,゚Д゚)「……ふう」
ギコは肩の力を抜き、大きく息を吐いた。

何とか、勝つことが出来た。
これで、これ以上町に被害が出ることも――


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:54:02.08 ID:g4BfEzG20
(;,,゚Д゚)「――――!」
そこで、ギコは思い出した。

被害――
そうだ。
孤児院の下には、まだ――

(;,,゚Д゚)「…………!」
瓦礫と化した孤児院に駆け寄り、必死に瓦礫を手で掻き分けた。


J( ゚,,。;)し


(;,,゚Д゚)「…………!」
先生の亡骸が、顔を覗かせる。

涙がこみ上げる。
息が出来なくなる。

駄目だ。
まだ、泣いちゃいけない。
まだ、しなければならない事がある。


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:55:37.00 ID:g4BfEzG20
(;,,゚Д゚)「誰か! 誰か生きていないのか!!」
叫びながら、瓦礫をどかし続けた。

ごめんなさい、先生。
後で、必ずお墓に入れてあげるから。

(;,,゚Д゚)「生きていたら返事をしてくれ! 頼む!!」
もしかしたら。
もしかしたらまだ、孤児院の誰かが生きているかもしれない。
生きて、助けを待っているかもしれない。

だから――

(;,,゚Д゚)「…………!」
瓦礫の下から、見覚えのある服が姿を見せた。

この服は、ポセイドンの……!

(;,,゚Д゚)「ポセイドン!!」
ギコは服の上にのしかかっている瓦礫を動かす。

だが――


( 3 )


ポセイドンは、もう、息をしてはいなかった。


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:58:05.61 ID:g4BfEzG20
(;,,゚Д゚)「あ、ああ、ああああああああああ」
ポセイドンの死体の下には、小さな子供達の死体があった。

きっと、ポセイドンは最後までこの子達を守ろうとしていたのだろう。

だが――
だが、全員、死んでしまっていた。

(,,;Д;)「うああああああああああああああああああああああ!!」
押しとどめていた涙が溢れ出した。

みんな、みんな死んでしまっていた。

先生も、ポセイドンも、子供達も、
みんな、みんな。

(,,;Д;)「あああああああああああああああああああああああああああ!!」
みんなが、大好きだった。

ずっと、みんなが幸せに暮らしていればいいなと願っていた。
騎士になる為に町を出てからも、片時も忘れたことなどなかった。

それなのに。
それなのに。

(,,;Д;)「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
いくら泣き叫んでも、涙が止まらない。

どうして、何でこうなった。
何でみんなが、こんな目に……!


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:59:58.18 ID:g4BfEzG20
川 ゚ -゚)「……ッ」
慟哭するギコの姿にいたたまれなくなったクーが、ギコに何か声をかけようとした。

が――

li イ ゚ -゚ノl|「――――」
ルシオラがクーの袖を軽く引っ張り、それを制した。

川 ゚ -゚)「……ッ。 どうして――」
li イ ゚ -゚ノl|「…………」
ルシオラは何も言わず、ただ首を横に振った。

ここで、何か優しい言葉をかけて慰めることは出来る。
抱きしめて、心を癒すだけなら簡単だ。

だけど、それではいけない。

この出来事は、この傷は、
ギコ一人の力で受け止め、乗り越えていかねばならない。

自分が、それに助け舟を出してはいけない。

ここで、手を差し伸べてはいけない。


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:00:34.58 ID:g4BfEzG20
(,,;Д;)「――――! ――――!」
声が枯れ果ててなお、ギコは声にならない声で泣き続けていた。

li イ ゚ -゚ノl|「…………!」
ルシオラは強く唇を噛んだ。
唇の肉が裂け、血の味が口の中に広がる。

ギコが今、どれだけ悲しみ、苦しんでいるか。
ルシオラにはそれが、痛い程分かっていた。
痛い程、伝わっていた。

本当は、今すぐにでも駆け寄り、慰めてあげたい。
少しでも、力になってあげたい。

だけど――

li イ ゚ -゚ノl|「…………」
だけど、その場から動かなかった。
動けなかった。

ただ、見守るだけしか――
それしか、出来なかった。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:02:38.22 ID:g4BfEzG20

                 *

                 *

                 *

(,,゚Д゚)「…………」
生き残った町の人達と手分けして、
犠牲者の墓を作り終えた頃には日はとっくに沈んでしまっていた。

町はほとんど壊滅状態で、
無事な建物を探す方が難しい有様だった。

もしかしたら、これは悪い夢なのかもしれない。
そう思わずにはいられない程、無残な状況だったのだ。

li イ ゚ -゚ノl|「すみません。
       関係無いあなたにまで、手伝ってもらって――」
ルシオラが、墓作りを終え一息ついていたクーに頭を下げた。

川 ゚ -゚)「いや、構わないよ。
     行きがかり上とはいえ、人として、このまま素通りなど出来ないからな。
     しかし――」
クーはギコとルシオラを交互に見て口を開いた。

川 ゚ -゚)「あなた達は、これからどうするつもりなんだ?」
短く、クーが訊ねる。


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:04:21.17 ID:g4BfEzG20
(,,゚Д゚)「どうするって……
    ――そうだ!」
座っていたギコがおもむろに立ち上がった。

(#,,゚Д゚)「あいつら……!
     すぐに追いかけないと!!」
そうだ。
あのハインリッヒとかいう女が率いていた連中。
あいつらを、このまま逃がすわけにはいかない……!

li イ ゚ -゚ノl|「待ちなさい」
そんないきり立つギコを、ルシオラが制した。

(#,,゚Д゚)「どうして! こんな事している間にも、あいつらはどこかへ向かってるんだ。
     早く追いつかないと――」
ハインリッヒが町を去ってから、もうかなりの時間が経過していた。

このままでは、奴らを見失ってしまう。
その焦りが、ギコを急き立てていた。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:05:42.13 ID:g4BfEzG20
li イ ゚ -゚ノl|「……追いついて、どうするのです?」
そんなギコとは対照的に、落ち着き払った声でルシオラは言った。

(#,,゚Д゚)「決まってるだろ! 全員、ぶっ殺して――」
li イ ゚ -゚ノl|「そんなボロボロの体で、ですか?」
(#,,゚Д゚)「――――」
ルシオラの鋭い言葉に、ギコが声を詰まらせる。

li イ ゚ -゚ノl|「……いいですか、ギコ」
諭す様に、ルシオラは口を開いた。

li イ ゚ -゚ノl|「あなたの気持ちは、私にも分かります。
       ですが、一時の怒りに我を忘れて、血迷った行動を取ってはなりません。
       絶対に復讐を成し遂げたいというのなら――尚更です」
一言一言、言い聞かせるようにルシオラは言った。

(#,,゚Д゚)「――関係無い!
     俺は――」
その時、ギコの膝がぐらりと折れた。
そのまま、ギコは地面に突っ伏す。

li イ ゚ -゚ノl|「――! ギコ!」
ルシオラが、慌ててギコに駆け寄る。

(,, Д )「俺、は――」
ギコが何とかして立ち上がろうともがく。

しかしそのまま、彼の意識は遠のいていくのだった。


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:08:03.29 ID:g4BfEzG20



             *           *            *



ミ,,;Д;彡



――一人の男が、瓦礫の山の中で泣いていた。

かつて賑わっていたであろう街の、廃墟と化した残骸。

その中で、ただ、泣いていた。

(,, Д )(これは、何だ)

その姿は、どこかさっきまでのギコの姿と重なっていた。

いや、姿だけでなく、その状況も一緒だった。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:10:27.42 ID:g4BfEzG20
(,, Д )(こいつ、は――?)

男は全てを失っていた。

両親も、

友も、

仲間も、

想い人も、

みんな、

みんな、

全てを。

男は、一人ぼっちだった。


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:14:21.25 ID:g4BfEzG20
(,, Д )(これは――)

これは、夢だ。

ギコはそう確信していた。

だが、

だけど――

夢なのに、何故こんなにも鮮明に映る……?

(,, Д )(俺は、一体――)

ぐにゃり、と視界が歪む。

そのまま、視界は黒く染まっていくのだった。


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:15:36.59 ID:g4BfEzG20

              *

              *

              *

(,,゚Д゚)「…………?」
気が付くと、ギコはベッドの上にいた。

ベッドの上?
確か自分は、あの化物と戦ってて――

(;,,゚Д゚)「!? って、どこだここは!?」
ギコが周囲を見渡すと、そこにあったのは今まで見た事も無いような光景だった。

上質の羽毛をふんだんに使った柔らかいベッドに、ただっ広い部屋。
部屋の中は埃一つ落ちていないくらい丁寧に整頓されており、
部屋のあちこちにはギコには一生手も出ないような家具や装飾品が備え付けられている。

ここは――
ここは一体、何処なんだ?

いいやそもそも、自分はいつの間にこんな所に?


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:17:09.57 ID:g4BfEzG20
「――か。 起きておられますか、――――様――」
と、部屋の入り口のドアをノックする音と共に、女性に声が聞こえてきた。

(;,,゚Д゚)「え、ええ? はいぃ?」
聞き覚えの無い女性の声に、ギコはただうろたえるだけだった。

何だこれは?
これも――夢の続きなのか?

「起きてないんですねー。 それじゃ、強行突破しますよー」
と、ノックの音が止み、そして――

ノリ,#^ー^)li「どっせええええええええええええええええい!!!」
けたたましい音と共に、ドアが蹴り開けられた。

(;,,゚Д゚)「う、うわああああああああああああああああああああああ!!」
突然のあまりの出来事に、ギコが思わず叫ぶ。

何だこの人は!?
何なのだこの状況は!?

信じられない事の連続に、ギコの思考が周囲の状況に追いついて来ない。


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:18:02.64 ID:g4BfEzG20
ノリ, ^ー^)li「あ、なーんだ。 起きられてたんじゃないですか。
       それならちゃんと返事して下さいよー」
爽やかな笑みを浮かべながら、女性が先程自分で蹴り開けたドアを閉める。
ドアの一部が足型に凹んで、鍵の金具が根こそぎ壊れているような気もしたが、きっと気のせいだ。

ノリ, ^ー^)li「さ、それじゃさっさと着替えて、朝食に行って下さい。
       今日も、予定がびっしり詰まってるんですから」
手際良くテーブルの上に豪華そうな服を置きながら、女性は語りかけた。

誰だ、この人は?
随分親しげに話しかけてくるけど――
自分は、こんな人とは合った事も無いぞ?

(;,,゚Д゚)「あ、あの――」
ノリ, ^ー^)li「はい、どうしたんですか?」
(;,,゚Д゚)「あなた、一体誰ですか……?」
恐る恐る、ギコは訊ねた。

ノリ,#^ー^)li「はあ!? 開口一番何ぬかしてやがるんですか?
       もしかして、まだ寝惚けてます?」
顔に青筋を立てながら、女性がギコに詰め寄った。

やばい。
この人、怖い。

ギコが恐れおののく。


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:20:25.21 ID:g4BfEzG20
(;,,゚Д゚)「い、いやあの、その、ちょっとど忘れして――」
しどろもどろになりながら、ギコが言った。

ノリ,#^ー^)li「ったくもー、自分の従者の名前くらいちゃんと覚えておいて下さいよ!
       ジャンヌです! ジャンヌ=ラピュセル!
       思い出しましたか!?」
バン、とジャンヌと名乗った女性は机を叩いた。

(;,,゚Д゚)「あ、うん、その、ごめんなさい……」
状況は全く分からないが、ギコは取り敢えず謝ることにした。
でないと、本気で殺されそうだったからだ。

ノリ,#^ー^)li「はあー……全くもう。 昨日今日の付き合いじゃないんですからね!?
       今日は久し振りにカスケード様も帰って来るってのに、こんなんで大丈夫かしら……」
(;,,゚Д゚)「あ、その、カスケード様って……?」
口に出さなければいいのに、思わずギコは聞いてしまった。

ノリ,#^ー^)li「あ゛? それ本気で言ってるんですか?
       まさか自分の腹心の部下の名前まで忘れた、っていうんじゃないでしょうね?」
鬼のような形相で、ジャンヌが詰め寄って来る。


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:22:41.46 ID:g4BfEzG20
(;,,゚Д゚)「あ、いやその……」
ノリ,#^ー^)li「ちょっと、いい加減にして下さいよ?
       まさかとは思いますけど、私をからかってるんじゃありませんよね?
       今日、ちょっとおかしいですよ、フサギコ様」
(;,,゚Д゚)「フサ――ギコ――?」
フサギコ、だって?

どうもさっきから様子がおかしいと思ったら、
ジャンヌとかいうこの女性は、自分とその男とを間違えているのか?

いや、これは夢の中の世界の筈。

だが、これは一体――

(,, Д )「これは――」
と、ギコの視界が再び黒く染まる。
そして、彼の意識は更に別の場所へと沈んでいくのだった。


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:24:40.92 ID:g4BfEzG20



             *          *         *



li イ ゚ -゚ノl|「…………」
ギコの頭を膝枕に乗せ、ルシオラは心配そうにギコの顔を見つめていた。

ギコが倒れた後、どうにか全壊を免れた建物の一室を間借りし、
一先ずはここで夜を明かす事にしたのだが――

倒れてから、ギコの意識が戻る様子は全く無い。

川 ゚ -゚)「彼の様子はどうだ?」
外に見回りに行っていたクーが戻り、ルシオラに声をかけた。

li イ ゚ -゚ノl|「……まだ、眠っています。
       色々ありましたから――疲れが一気に出たのでしょう」
そう、今日は本当に多くの事があった。

その中で、恐らくギコは肉体的にも精神的にも、深く傷ついていた筈だ。

ましてやギコは、まだ十八歳の子供。
こうして、倒れない方がおかしいのだ。


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:25:35.66 ID:g4BfEzG20
li イ ゚ -゚ノl|「…………」
ルシオラは、苦しそうなギコの顔を見ながら自責の念に駆られていた。

自分は、何もしてあげることが出来なかった。

ギコが苦しんでいるのが分かっていながら。
傷ついているのが分かっていながら。

そうするのがギコの為と思い、自分で決めたことではあるが――

まだ子供のギコに、一人で今日の出来事を受け止めさせるのは、
駄目だったのではないか。

そんな後悔が、頭の中を堂々巡りする。

li イ ゚ -゚ノl|「……あなたも、もう休んでいて下さい。
      夜番は、私が受け持ちますから……」
考え事を振り払おうと、ルシオラはクーに言った。

川 ゚ -゚)「……いや、まだもう少し起きているよ。
     大丈夫だ、ありがとう」
ルシオラの勧めをやんわりと断り、クーが床の上にしゃがむ。


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:27:31.15 ID:g4BfEzG20
(,, Д )「う……うぅ……う……」
と、ギコが呻き声を上げた。

悪い夢でも見ているのか、
その顔は苦しそうに歪んでいる。

川 ゚ -゚)「…………」
クーが心配そうにギコの顔を覗き込む。

無理も無い。
こんな少年があれだけの現実に直面して、平気な訳がないのだ。

li イ ゚ -゚ノl|「……~~~~♪」
と、ルシオラがゆっくりと、静かに歌いだした。

川 ゚ -゚)「…………?」
聞きなれぬ旋律に、クーが思わずいぶかしげな表情を浮かべる。

li イ ゚ -゚ノl|「~~♪ ~~~~♪ ~~♪」
慈愛に満ちた表情でギコを見つめながら、
ルシオラは歌っていた。

透き通るように綺麗な声が、周囲に優しく響いていく。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:28:27.82 ID:g4BfEzG20
川 ; -゚)「ッ!? ――――!?」
クーの目に、いつの間にか涙が浮かんでいた。

心を締め付けられるような、優しさと、そして切なさに満ちた歌声。

クーの知らない言語で歌っているのか、
その歌詞の意味は全く分からないのに――

その声が、言葉が、クーの心の琴線を、静かに、しかし大きく揺すぶっていたのだ。

これは――
この人は、何だ?

ただ歌が上手いというだけで、
これ程までに心が動かされる訳がない。

それに、この姿――

綺麗で、とても綺麗で、
まるで絵本の中からそのまま抜け出してきたかのような錯覚すら覚える。

どこか不思議な感じのする浮世離れした女性のように感じていたが、そんなものじゃない。

浮世離れというより、
寧ろ人間離れしているような――


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:30:32.23 ID:g4BfEzG20
(,, Д )「…………」
ルシオラが歌い終える頃には、ギコの寝顔は安らかなものに戻っていた。
まるで、小さい子供が母の胸の中で眠るように。

川 ゚ -゚)「……今の歌は?
     この国の言葉ではなかったみたいだが――」
気づかれぬよう目の涙を拭い、クーがルシオラに訊ねた。

li イ ゚ -゚ノl|「……『眠れ、愛し子よ。 いと、安らかに。 
      明日もまた、健やかな姿を見せておくれ。汝の幸せだけが、我が喜び』――
      ――私の故郷に伝わる、子守唄です」
ルシオラが、静かに答えた。

li イ ゚ -゚ノl|「……ごめんなさい。
       お耳汚しをしてしまって……」
ルシオラが申し訳なさそうにクーに謝った。

川 ゚ -゚)「いや、そんなことは無いさ。
     それにしても、凄い効き目だな」
クーがギコの寝顔を見ながら言った。


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:31:22.35 ID:g4BfEzG20
li イ ゚ -゚ノl|「……そんな大した事ではないです。
       昔から、ギコがいじめられたり、怖い夢を見て泣いたりした時に、
       この歌を歌ってあげていただけで――」
ルシオラが恥ずかしそうにはにかんだ。

川 ゚ -゚)「そう、か――」
答えながら、クーは今のルシオラの言葉に奇妙な違和感を感じていた。

今のルシオラの口振りだと、
ギコが小さな子供の頃から親代わりに面倒を見ていたようにも取れる。

だが、ルシオラとギコとの外見に、
そこまでの歳の差があるようには見えない。
せいぜい、5歳違いがいい所だろう。

ルシオラが小さな頃からしっかりした子供で、
昔からギコを姉のように面倒見ていたという事も考えられるが……


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:33:01.02 ID:g4BfEzG20
川 ゚ -゚)(……何を馬鹿な)
クーの頭にある仮定が生まれたが、
その余りの突拍子の無さに彼女は自嘲した。

深く考えるのは止そう。
二人は仲が良い、それでいいではないか。

自分が、外からあれこれ口を出すようなことでもない。

li イ ゚ -゚ノl|「……? どうしました?」
ルシオラが、じっと二人を見ていたクーに訊ねる。

川 ゚ -゚)「いいや――何でも、ないさ」
そう、何でもない。
きっと、どうでもいいことだ。

それに――
あれだけ優しい顔が出来る人が、
やましい事を抱える悪人である筈も無い。

そう思い、クーはそれ以上このことについて考えることを止めるのだった。



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45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:33:32.73 ID:g4BfEzG20
ステータス


(,,゚Д゚)    ギコ=アベルワード    レベル:8    クラス:剣士    称号:人殺者

術技   ・魔神剣 ・瞬迅剣 ・虎牙破斬 ・散沙雨

スキル  ・アタック  ・ディフェンド ・ウェルガード

装備   メイン武器  ロングソード
      サブ武器   なし
      頭       レザーヘルム
      体       レザーアーマー
      装飾      なし


li イ ゚ -゚ノl|   ルシオラ=スノウベリー   レベル:10    クラス:ソーサラー   称号:帰らずの森の魔女

術技   技 ・フリップヒット ・ハイドビート
      術 ・フォトン ・シャドウエッジ ・インスペクトアイ

スキル  ・マジカル ・マジックガード ・レジスト

装備   メイン武器  ロッド
      サブ武器   ブロンズブレスレット
      頭       カチューシャ
      体       クローク
      装飾      ポイズンチャーム


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:34:02.12 ID:g4BfEzG20
川 ゚ -゚)    クー(本名不明)        レベル:8    クラス:ランサー     称号:謎の女槍士

術技   技 ・瞬迅槍 ・三散華 ・岩砕破 ・鋭招来
      術 ・ファーストエイド ・アンチドート

スキル  ・アタック ・イベイション ・ディフェンド

装備   メイン武器  アイアンスピア
      サブ武器   バックラー
      頭       ブロズサレット
      体       ブロンズガード
      装飾      レザーマント


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